里見戦艦伝 「里見義堯 プレイリポート」(その2)




     海の男は引退?(1559年〜


今回のリプレイのテーマはズバリ、夏! まぶしい太陽、そして青く何処までも広がる海。
しかし、なんと里見家唯一の保有港である岡本港は、どういうワケか襲ってきた北条家に、
なんの準備もしていなかったため、あっさりと奪われてしまったのです。
里見水軍を活躍させたかったリプレイとはちょっと違う方向に進みつつあるのですが、

 「もう怒ったぞ。」

鼻息荒く兵士達の前に現れた義堯は……、
あれ? 鎧兜に軍配、腰に太刀と脇差を吊るし槍を片手に登場。
いつものゴム長靴に捻り鉢巻、手には銛というスタイルではありません。

 「海の男は引退じゃ。北条をぶちのめしてやる。」

ムリ、それはムリ、周囲の兵士に無謀だと止められる義堯でしたが、
久留里城から全力で岡本港に攻撃を仕掛けようとします。が、
海の向こうからやってくる北条軍の軍船、あまり大量の数に、

 「今日のところはコレぐらいにしておいてやる!」

と、お約束のセリフをはいてやっぱり地道に佐竹攻略に乗り出すのです。
とは言うものの、佐竹家は皆が皆、そこそこ強いし賢いのでツライ。
こっちの計略系戦法はまず効かないだろうし、兵力の多さで勝負です。

 「もう怒ったぞ。」

鼻息荒く兵士達の前に現れた義堯は……、
軍馬に跨り颯爽と佐竹家の篭る太田城へと向かっていきます。
マジで海の男は引退の様子。これで兵士達も安心です。
今回はマトモちっくですからね。

 「相馬軍、佐竹軍の援軍として出陣した模様!」

伝令の声に動揺広がる里見騎馬隊。
当然です、里見騎馬隊と名前は立派ですが騎馬技術なんて何もありません。
相馬といえば騎馬技術が得意なんですよね。

 「きょ、今日のところはコレぐらいにしておいてやる、きっと!」

なんか、だんだん自信が無くなってきましたよ。
なんつーか太田家リプレイで戦った関東とはちょっと違う関東っていう雰囲気。
やっぱり太田道灌、北条早雲がいるだけで太田家も北条家もちょっと違う。
まず武田が大きく動けないため、太田、北条、武田、真田、長野といった周辺勢力が、
城に3〜5万の兵力でじぃぃぃぃっと待機しているんですよ。
下手に里見が動くと、その留守を狙って一斉に動き出すんだから厄介極まりない。
ちょっと離れた上杉がジワジワと勢力を伸ばしているのも不気味。
仕方ないのでお坊さんがやってくるまで里見家も待機ですよ。
寂しいなぁ。それ以上に時間制限が痛いなぁ。

こうして高僧がやってきたのと同時に佐竹攻め。
待機していたお陰で募兵もはかどって大軍でございます。
上手い具合に太田家と武田家が争ってくれたのでお坊さんも必要なかったかな?
ついでに上杉と長尾も争っている。太田、長野が破れれば武田上杉と接するという、
ちょっと厄介、いや、かなり厄介な状態になるけど、
いまはチャンスと考えて兵力差にモノを言わせて佐竹&相馬を撃破。

 「み、港を手に入れたぞ。皆のもの!」

あ、そうか、佐竹家にも港があったな。というワケでゴム長靴に捻り鉢巻姿に復活。
鹿島港を手に入れて大喜びの義堯ですが兵士達は微妙な表情。
殿が喜ぶのは嬉しいが、あの格好で戦場に出るのはちょっとねぇ。

 「義堯殿のその格好。まさに海の漢! 惚れました! 是非とも里見家の末席に!」

うわ、誰だお前、……この暑苦しいセリフは、まさか!

 「義重殿か? よし、共にこの海を制し、共に日本を制するのだ!」
 「はは、京の都にこの大漁旗を靡かせるまで一生懸命働きます!」

……おい義重よ、同じキャラで行くのか?
ま、キャラのことは良いとして、義重はやっぱり良将だよな。
強いし賢いし、いてくれるだけで心強い。
そういえば太田家リプレイでも彼が仲間になってから真の躍進が始まった。
今回の里見リプレイでも大いに活躍してくれるよね?

 「もちろん、と言いたいけど、太田家は手強いからなぁ〜。」

あれぇ?

 「あの道灌とか言う奴がメチャクチャ強い。」

そ、太田家は何時もの太田家じゃない。
なにしろ今回の太田家は、過去数回にも及ぶ武田の攻撃を退けたのだ。
やっぱり太田道灌の存在はデカいんだよな。
知将がいない太田家に道灌がいるだけで全然雰囲気が違って見えるんだから不思議だ。
おまけに現在、太田長野同盟によって、岩付城を攻めると業正ももれなく付いて来る。
これまたすっげぇ厄介。同盟相手の太田家が強くなっただけで長野家も随分と違う。
上杉を追い返し、真田を追い返し、……ちょっとあんたら、やれば出来るじゃないの。
とにかく、長野にしろ太田にしろどっちかを叩きたい。
この時点で5年経っている。予定より遅いんだよ。急げ、急げ!

 「こうなりゃ手段は一つ。火事場泥棒でまず箕輪城の長野を倒す!」
 「え? なんか海の漢らしくないな。そこは男の殴り合いをしてですね……。」

そんなコトしてたら武田や真田に美味しいところ持って行かれちゃうよ。
だけど家臣の不満を聞いてあげるのも主君としての立派なお仕事です。

 「ならばコレをお前にやろう。
  細かいコトを気にせず、大きな心で戦ってくれ。」

そっと義重に差し出した品、
それはビーチサンダルにサングラス、日焼けオイルにビーチパラソル。
あ、ある意味これも海の男だね。

 「あ、ありがたき幸せ! 海から遠く離れても海を胸に戦えと言う意味ですね?」

いったいどんな解釈だよ。
と、とりあえず火事場泥棒の準備をしよう。
箕輪城にむけてその付近に築城すべく築城部隊を出す。
これはイカンと迎撃に出た長野軍、近付いてきたら逃げる逃げる。

おや? 箕輪が手薄になったなと気付いた真田家が箕輪城に向けて出陣。
なんか知らんうちに箕輪城が火事場になりました。これはチャンスとばかりに、
ゴム長靴に捻り鉢巻で大漁旗の義堯と、
立派な体躯にオイルを塗って美しい褐色の肌、サングラスにビーサン姿の義重が出陣。
真田軍と一緒にこっそりと城の反対側で箕輪城を殴り続ける里見軍、
手にした銛が敵の血で真っ赤になる義堯、投石や矢玉をビーチパラソルで防ぐ義重、
戦法発動の為の闘志みなぎる二人。当然使いません。
箕輪城が落城する寸前、あと少し、あと数百にまで兵力が減ったら【槍突撃】っ!
こうして見事、真田の手から箕輪城を横取りに成功。
捕えられた業正は開口一番、

 「……似たような手口で、わしも昔やられた覚えがあるんじゃが、」

気にしない、気にしない、知らない、知らない。
祟らない、呪わない、亡霊にならない。

 「なんか妙に寒気がするけど、次は太田家だ。」

火事場泥棒の続き、長野家の箕輪城を攻めると、
同盟相手を助けようと太田軍が岩付から箕輪城目掛けて出陣。
わーい、岩付城は隙だらけ〜。
古河御所と久留里城に貯めておいた兵を動員し南東側から攻撃開始。
一回の火事場泥棒で二つの城を落とすなんて、里見義堯ってば天才。
ただの海好きなおっさんじゃないんだね〜。

 「太田道灌敗れたり〜っ!」
 「殿、太田家から停戦の使者がお見えになっております。」

無視しろ、無視!

 「変な坊主も一緒です。」

……なに、この展開。
これで無条件六ヶ月の停戦。ムカつくけど仕方ない。
予定ではもう関東制圧しているハズなんだが仕方ない。
六ヶ月、じっと我慢の子。水軍学舎も続々建築し【水雷】までは漕ぎ着けた。
安宅船を駆って各地の港襲撃も間近だというのに、
んで、上杉謙信の唯一部隊リプレイで安宅船なのに苦労した経験を生かし、
今川家と同盟を結んで弓技術を貰っているというのに、
じぃぃぃぃっと待機、六ヶ月後、見てろよ。

 「いざ出陣!」
 「殿、太田家から停戦の使者がおみえになっております。変な坊主も一緒です。」

坊主ごと追い帰せバカ野郎っ!!
もう待っていられない。岩付に向けて出陣した部隊は泣きながら、
岩付城のその向こう北条小田原に殺到。
太田家と停戦しているんだから太田家からの攻撃は無い。その間に全力で北条を潰す。
もう怒った。怒ったんだからね。一年間も足止め喰らって黙ってられるか!

 「いい迷惑だな。八つ当たりは止めろ。」

早雲、お前が岡本港を攻撃してからコッチの予定が狂ったんだよ。責任とれ、責任!
慌てて岡本港から海路で戻ってくる北条方の兵士たち、でも遅い。遅すぎる。
小田原城を全身全霊を掛けて殴りまくり、隣の今川とは同盟組んでるから気にしない。
とにかく全力でぶん殴る。早雲の計略なんて気にしない。城が堅くたって気にしない。
戦いに飢えた海の荒くれ者どもに怖いものなんて何も無い。
岡本港、下田港に大量に駐屯する兵士も港に押し込めてしまえば怖くない。
こうして予想外に北条氏を滅亡に追い込んだ里見家は、
その六ヵ月後三度目の正直で太田家の篭る岩付城を攻撃すべく出陣!

 「今度こそ太田道灌敗れたり! さすがに毎回坊主がいる訳ではあるまい!」

無数の大漁旗を掲げ褐色の肌のマッチョな兄さんが列を成して岩付城を殴る。蹴る。
矢を撃っても鉛の弾を撃っても、そのオイルが上手い具合にツルツル滑って流してくれる。
いそげ、もう6年目だ。太田家を潰して海戦の準備を万全にするんだ!

 「殿! 大変です。武田軍がコチラに向かって出陣してきました。」

なんだと? 武田も火事場泥棒に来たってワケか!?
えぇぃ許せん。どいつのこいつも邪魔しやがって、この城は誰にも渡さない!

 「うっせー、海バカ。坊主の被害はオレらも同じだ、こんちくしょー。」

あー、そうか、どーりで武田の動きが遅いと思っていたら、
武田さんのところにも坊主同伴で停戦の使者が来ていたんだろうね。
それで兵力ばっかり貯まって何も出来なかったのか……って、
だからと言って岩付城は譲らない。

 「敵は武田! 武田軍を叩け!」

義堯の号令でモッコリ海パンの褐色のマッチョ軍団が一斉に武田軍に襲い掛かる。
想像するとかなり嫌な感じがするけど気にしてはいられない。
更にはさっき配下に加わった北条早雲の知謀が冴え渡り、武田軍大混乱。
いつもは冷静な武田信玄ですら「うわ、こいつらキモっ!」と大騒ぎです。
もちろん、計略系戦法を掛けるのは信玄本人がいる部隊ではなく、
ちょっと頭が悪い人を狙うのが鉄則、
勝頼隊が手薄だったので若様に混乱を掛けるのがセオリーです。
武田軍を追い返した里見マッチョ軍団はそのまま太田家の篭る岩付城を攻略。

サングラスに褐色の肌のマッチョでナイスガイなアニキたちに、
両脇を取られ捕われた太田道灌をはじめ、
太田家の人々はビクビクしながら里見家に仕えることになります。
こうして7年という長い歳月を掛けて関東を制圧。
くそぅ、予定より遅いし、予想以上に苦戦した。

 「バナナボートの準備はいいか!?」
 「おおー。」

 「水上スキーの準備はいいか!?」
 「おおー。」

 「おやつは500円まで、バナナはおやつに含めない。」
 「おおー。」

次回からは、ようやく海に旅立ちます。