唯一部隊 「上杉謙信 プレイリポート」(その5)




     勢いだけの上洛(1564年~


そろそろ四国統一でもしようかと勝瑞城にて軍備を進める三好軍。
ここ最近の長雨と悪天候に暇を持て余す将兵たち……。
ようやく晴れ間が見え、海も穏やかになったちょうどその頃、
上杉軍が清洲城を攻略したとの報が三好長慶に届きました。

 「海が荒れていまして報告が遅くなりました。」

畏まる伝令の兵士に、
気にするなと声を掛ける長慶、

 「ほぅ、世間を騒がす越後の龍とやらが尾張まで来たか、」
 「長慶様、如何なさいますか?」

家臣の問いに長慶は、

 「捨て置け、姉小路に不覚を取るような軍を恐れてどうする?
  ぷぷっ、恥ずかしい奴らだよな~。」

それは言っちゃダメぇ~っ!!

 「それもそうでございますねぇ。くくくっ」

家臣も釣られて笑っちゃうんだから腹が立ってしょうがない。
こっちだって負けたくて負けたワケじゃないんだからね!

 「殿、途中で山賊に襲われ遅くなりましたが、報告いたします。」

ん? なんか別の伝令が来たみたいですよ。
悪天候の次は山賊に襲われて……この時代の伝令も大変ですね。

 「上杉軍、霧山御所を攻略! 織田家降伏にございます。」

はぁ、あれ?
また伝令の兵士が走ってきましたよ。

 「殿、大変です! 上杉軍、筒井城を攻略! 雑賀党降伏!」

あれれ? そうか、悪天候やら山賊やらで伝令が滞っていたんだね。
それで、こうやって今になって連発で……。

 「ちょ、ま、えぇっ!?」

さすがの長慶もビビっちゃいます。
これが姉小路家に一敗塗れたという嘲笑される上杉軍なのか?
なんか噂と全然違うじゃないかと、

 「小谷城陥落、近江浅井家滅亡にございます。」
 「観音寺城が落ちました! 六角家滅亡!」
 「敦賀港の朝倉勢、上杉家に降伏!」

次から次へとやってくる伝令、
わたしに何をしろと?
これって四国統一とか言ってる場合じゃないよ。

 「と、と、殿! 大変です。」
 「もう良い、聞き飽きたわ! 全軍、堺に引き返すぞ。」

三好軍は大軍を堺港へと移動。
上杉討伐の軍令を発したのですが、

 「殿? 室町御所が上杉軍に、その、攻められて……あらら、行っちゃった……。」

船に乗って、どんぶらこ、どんぶらこ、
堺に着いてみて長慶びっくり、三好領山城の室町御所が落ちている。
他の小勢力はともかく五万の兵を駐屯させていた室町御所が落ちている。

この戦、京に住む人々の話によると、
石垣にまで蹄の跡、いやいや、恐ろしいコトに本丸の廊下にまで蹄の跡、
どこまで騎馬隊で突っ込んできたのかわからない。
更にとんでもない話が続く、なんでも上杉軍には謙信という軍神のほかに、
軍神以上に強いと噂される男がいるらしい、前田利益、いや慶次の名の方が通るだろう。
天下無双に加え天下御免の傾奇者、戦場で捕えた敵将は冬でも水風呂一直線(これ違うだろ?)
とにかく、そんな傾奇者が室町御所の石垣を馬で登り(松風がんばった。)
城内でも暴れまくったというのである。

 「ふ、ふざけるのも程々にしてもらおうっ!」

ついにブチ切れた長慶は各国の大名に呼びかけ上杉包囲網を結成。
また包囲網、だから包囲網だけは苦手なんだってば、

蝦夷の雄(?)蠣崎軍は十三港を攻撃開始!
でも、宇佐美定満が駄々をこねた水軍技術開発によって完成した【水雷】で撃退。
おぉ? 今回も包囲網に耐え切れるかもよ。

尼子軍は山陰の兵力を集中させ敦賀港へと出撃、
【水雷】を持っていても陸地からの攻撃には意味が無い。さぁどうするか?
三好軍は四国から大軍を堺港へと集結、上杉軍が篭る室町御所、筒井城を襲撃。
こっちは主戦力(というか唯一の出陣可能部隊)謙信隊で迎撃!

敵の数は五万? 八万? そんなの関係ない。
そーれ【車懸り】からの三連鎖を見せてやる!

   しーーーーん。

あれ? 連鎖しない。
なんで? いつも激しく狂おしくどこまでも連鎖するのに、

 「うーむ、【車懸り】からの【乗崩】って連鎖しないなぁ。」

慶次が首を傾げているけど、
全くもって、その通り、当たり前に連鎖しねぇよ。
連鎖率は8%だったかな? そんな10回やって1回成功するかどうかじゃねぇか!

 「でも当たると強いと思うんだけどなぁ。ま、いいか、ちょっと一暴れしてくるぜ!」

確かに成功したらとんでもない破壊力だろうなぁ。
きっと馬で城門超えて城内で暴れるくらいの破壊力だろう。
とりあえず戦法は単発でしか発動しないが、それでも化物クラスの強さ。
四国と本州の連絡路である三好領堺を逆に攻略する勢い、もう誰も止められない。

 「はい、どいて、どいて、安宅船の造船所つくりますよ~。」

すぐさま直江様御一行到着、
港を修復する者、造船所を建築する者、みんな大忙しです。
だけど、その様子をポツンと一人見る老人がいました。宇佐美定満です。
御屋形様が戦に出る時、その知恵袋として付き従った定満ですが、
病弱天才属性の半兵衛、天下無双の傾奇者属性の慶次がやって来てからは、
その役割を追われ、後続部隊に配置換え、だけど直江様御一行は政治が得意。
伊達種宗、晴宗、輝宗シリーズ(シリーズって(汗))に、
北条氏康、蘆名止々斎、更には織田信長、松平元康、明智光秀といった、
本来なら戦場に呼び出したい武将達まで直江様御一行にいるんだから、
政治42の定満はお呼びで無い。

 「そろそろ潮時かの?」

そんなワケで定満は、
ひとつだけ気がかりな問題を片付けるべく
御屋形様に船を借りるワケで……。

 「うむ、次は四国上陸が目標。船くらい持って行け。」

……そういう意味じゃぁ無いんだけど……。
こうして長尾政景が異心を抱いていることを察した定満は野尻湖にて政景を殺害、
自らも証拠隠滅の為(?)死んだとされる事件が発生するのであった。
だけど定満に悲壮感は全くなし、幽霊軍師二代目を目指す定満ですが、

 「よし、安なんとか船に乗り込め、三好を追って四国へ行くぞ!」

と御屋形様が全然、全く、微塵も、
気付いてないみたいなので以下次回なのです。



     四国上陸と関白への道(1567年~


 「そう言えばここ最近、爺やを見ていないが……。」

お船に乗ってどんぶらこ、
堺からの四国の玄関口宇多津港を目指す軍神様一行。
傍らに立つ半兵衛に尋ねると、

 「えぇ、そう言えば見ませんね。直江殿と一緒に後発部隊にいるのでは?」
 「あー、そういや見かけねぇなぁ。耄碌してどっかで死んでるじゃねぇか?」

慶次くん、それ洒落になってませんよ。
それにしても薄情な奴らだ。
定満は自分なりに上杉家の行く末を案じていたのに、
(一説では謙信の命によって……とも言われているけど……不明。)

 「ちちうえ~。」

うわ、なんだこの糞ガキはっ!?
その少年は謙信を父と呼び駆け寄ってきます。
謙信、あんたいつ妻を娶ったの? それともどっかでやっちゃったのか?
ここにきてスキャンダル発覚ですよ。

 「いや、養子だが、なにか?」

何時の間に?

 「……ま、マウスでクリック連打してたので解からん。」

御屋形様ったら本当テキトーだねぇ。
しかし、御屋形様、ここでようやく気がつきました。
爺やは死んだのだと……あ、あのイベントか……と、
これからは次代を担うこの少年を立派な大名に育て上げようではないか、

 「よし、義父の戦いぶり見せてやる。」

握り天高く突き上げた拳、
かっこいい、かっこいいよ、お義父さん。
しかし、つかつかと駆け寄ってくる兵士。

 「御屋形様、定員オーバーです。副将を一人はずしてください。」

そうだった。
えーと、じゃぁ半兵衛、降りてね。

 「……ま、マジですか? 大丈夫ですか? すっげぇ不安なんですけど、」

焦り顔の半兵衛ですが、なーに、心配ない。
この安宅船は頑丈だし三好の奴らも水軍が特別得意なワケじゃない。
いまこそ軍神の力を若き力に見せる時!
いけ、我が軍略の冴えを見よ! くるがか~!!

 「しまった、船の上では騎馬隊が使えない!」

謙信、慶次と一緒に船の上で右往左往。
こらこらビビってないで弓くらい撃てよバカ主従。
宇多津港から三好の軍船が出航、鉄砲ばーん、弓矢でばーん。
頑丈な安宅船もボロボロになっていく始末、こりゃヤベェ。
そうだ計略だ。けいりゃ……半兵衛、置いてきた~っ!!
しかも計略系の経験なんて、ほとんど全く微塵も積んでねぇっ!!
逆に敵の計略系戦法を受けたりで大変だー。

 「ち、ちちうえ?」

さすがにヤベェと感じた少年、景勝。
普通の人間だったらこんな上杉家の家督は継ぎたくないわな。
しかし上杉軍は退く事を知らない。
いままで退いたコトがないから退き方が解からない。
安宅船の防御力に任せてとにかく戦う。戦う。三ヶ月戦う。まだ決着つかない。
三好勢は勝瑞城からも続々と兵士を輸送、四ヶ月突入。まだ落ちない。
本州に残された知略の高い家臣団は【激励】連発で士気を上げる五ヶ月経過。
ついには六ヶ月突入、船の上で二季節を過ごした上杉軍。
だけどやっぱり、どうにか、こうにか勝つんだよなぁ。

 「……はぁ、はぁ、はぁ、……どうだ、上杉軍の強さ。」
 「……ちちうえ、強さを感じませんけど……。」

上陸さえしちゃえば強いんだけどね。
今度こそ少年に強さを見せ付けてやろうじゃないの。
謙信は景勝の両肩に手を置き語り掛けるのです。

 「上杉軍の強さ、わかったと思う。だから次は留守番を頼むぞ。」

次の戦は半兵衛を入れるってか、
そりゃそうだ、知力の高い奴が欲しいもんな。
さっきの戦いで身にしみて解かったよ。

 「だから、ちちうえ、強さ全然わからねぇよ。」

さて陸上戦ですが三好長慶は謙信上陸を聞いて速攻で降伏、
勝てない、もう勝てない、絶対ムリ、
城門を馬で乗り越えて城内で暴れるような奴らには勝てない。
と、なると今度の相手は足軽得意な長宗我部軍です。
【当世具足】で騎馬隊の戦法半減とか言ってますが、

 「それ、くるがか~っ!!」
 「ち、まぁた【乗崩】が連鎖しねぇよ。」

こんな人達に勝てるハズありません。
具足を身に着けていても意味無し、装甲ぶち抜き突貫工事。
四国統一なんて時間の問題だと理解した長宗我部家は降伏。
なんだ、なんだ四国上陸にあんだけ苦労したのにさ、

なんか暴れ足りない上杉軍は本州に戻って中国地方を蹂躙。
尼子、毛利は降伏し、本州に勢力を伸ばしつつあった大友も撃破、
なんか大砲が凄い勢いで打ち込まれてたけど気にせず撃破、
騎馬で駆けまわり、とにかく突きまくり、走れ謙信どこまでも、

 「……隠居しよう。」

あれぇぇ?
ちょ、待てや、お前が隠居したらこのリプレイどうなるんだよ。
お前が戦わなければ誰が戦うんだ、このバカ、

 「隠居し戦いに集中する。政は景勝に任せる。」

あ、そういう事か、このゲームシステムだと隠居したら一門衆になるだけ、
別にゲーム自体から消えて無くなるワケではない。
これまで大名である謙信が城に居ないが為に、
商人や名僧、公家やら南蛮人やらが訪問して来なかったんだよね。

 「そういう訳で景勝、あとは頼むぞ。」

つーか、あんた、当主だったときですら政してなかったじゃん。
全部人任せ、ただ目の前の敵に向かって一直線だったよね?

 「はい、邪魔です。直江です。建築します。どいて下さい。」

ほら、こんな感じで、
ま、その直江ちゃんですら最近は【畑】のみ作っているだけ、
あとは前に突き進めば傷兵は手に入るし騎馬も奪うし、
なんも問題ないもんなぁ。

 「で、景勝殿、関白にならぬか?」

おや? さっそく公家がやってきたみたいですね。
ほとんど官位なんか持っていないのに、やって来ていきなり関白と、
こりゃすげぇな。

 「ちちうえ、どうしましょう? あれ? ちちうえ?」

あー、謙信ならすぐ出陣したよ。
あの砲弾の間を潜り抜けて大友軍と戦うのが面白くて仕方ないとか言ってたな。

 「……あんな適当な大屋形様がいる当家に関白など、天皇に申し訳なさ過ぎです。」

うわ、誰だ、お前は!
あ、脚が透き通っている、出たな二匹目のドジョウ狙い幽霊軍師宇佐美定満。
ぬぼぉ~っと景勝の後ろにぼんやり出現でございます。
よほど上杉家の今後が気になって仕方なかったんでしょう。
死んでも死に切れないとは、まさにこのコトですね。

 「う、うわぁ、こわぁっ! なんだ、こいつはぁ~!!」

あぁ~、お偉いさん腰抜かしてカクカクしながら出ていちゃったじゃないか、
こうして上杉家は関白を蹴っちゃったのです、ちなみに将軍の座も、
足利義輝公の生死がわからぬ内に将軍だなんて……と蹴っちゃったんだよな。

 「む、糞餓鬼、なんか妖気を感じるぞ。どれ、義父が払ってやろう。」
 「あ、ちちうえ、それは、定満殿でございます。」
 「誰だっけ、それ? まぁ良い、この軍神に祟るとは愚かな奴め!! なんとかソワカー!!」

色々ツッコミたい。
すっげツッコミ入れたいけど、
ひでぇことに定満は雰囲気だけで成仏しちゃったところで以下次回です。