SOUU's CounterAttack 「曹宇 プレイリポート」(完結編)




     建業上陸戦(246年〜


世の中はサプライズに満ち溢れているなぁ。
曹肇を中心に関興ら元蜀将を引き連れて荊州南部を攻略中なんですが、
あっさりと陸抗を捕えた曹肇は、彼を延々と引きずり回したのね、
っていうと言葉が悪いな、捕えた後で忠誠度が下がるまで都市には帰らず、
捕虜武将の脱走を防ごうというアレですよ。

ガンガン忠誠度が下がっていくのよ。
以前、司馬懿を捕えたときは何日経っても忠誠度下がらなかったのにね。
呉軍の主柱たる陸抗はあっさり曹宇魏軍に加入しちゃって、さぁ大変。

 「孫権さま、最近ボケが始まって大変なんだよね〜。」

おい、前に出てきたときとキャラが違うぞ。
ま、いまごろ彼のお父さんは孫権のボケっぷりに右往左往しているかも知れません。
捕えられた陸抗は曹宇と面会し、こう言ったそうです。

 「冗談はさておき、このまま戦い続けても呉に勝機は無く、
  無闇に戦が長引けばそれを支える民に負担を掛けるだけです。
  いま天下の流れは二つの魏に傾いております。
  一つは正統と名乗るだけで戦火を長引かせるだけの魏、
  もう一つは兄弟を想う私怨から興きたものの、
  いまでは天下を安寧へと導かんとする魏、
  ならば、民を安んじるには何をすればよいか自ずと解かるというものです。」

セリフ長いぞ。

 「何を言っているか意味は解からぬが、
  なんとなくカッコイイし、褒められているような気もするから嬉しいな。」

素直というか、純朴というか、人が良いというか、
曹宇は頭に浮かんだままの感情を吐露しちゃうワケで、

 「……はぁ(この人の配下になって大丈夫だろうか?)」

ほら陸抗が不安がっているぞ、
曹沖の麻酔針が飛んできても知らないぞ、
諸葛亮が後ろから走ってきて羽扇で殴られても知らないぞ、
しかし誰にも邪魔されず曹宇は続けます、

 「うん、兄弟を想う私怨と言えばそうだったかも知れないな。
  でも兄曹丕は病に倒れたそうだし、魏そのものを恨んでいるワケでもない、
  いまは幼馴染で兄弟同然に育ってきた親愛なる甥と、
  魏という国と、その国の後継者という誇りを賭けて戦わなければならない。
  そして、その後継者という意味の無いモノの為に、
  また多くの兵を失い、多くの民に負担を強いるのも悲しいコトだよね。」

最初、曹沖が挙兵を渋っていた理由がなんとなく解かった曹宇、
この話を聞いていた曹宇魏の重臣である曹肇、夏侯献、秦朗の三人も、
20年以上も前の曹沖の想いを知り、俯き黙り込んでしまいました。
いまでも曹沖はあの時のまま少年のような姿をしていますが、
ここまで辛く長い戦いを潜り抜けてきた彼らは、
いつの間にか大人となり、いつしか老齢となっていました。

 (この人もそれなりに考えているんだ。)

陸抗はその後、南荊州制圧戦に参加し諸葛恪を曹宇魏に降らせ、
共に闘艦を駆り呉都「建業」周辺の制水権を完全に掌握、
出撃してくる呉軍の桜船を投石、火矢を駆使し尽く撃沈していきました。
水上戦で思わぬ被害を被った呉軍は江岸防備も緩くなり、
曹宇魏軍は長江対岸の「蕪湖港」に橋頭堡を築きました。
こうなると「建業」は予想以上に脆く、僅か数十日で陥落したのです。
呉軍は「呉」「会稽」へと逃れて行きますが、
既に大勢を覆すことは難しく、247年1月に呉は滅亡したのでした。


     黄河燃ゆ(248年〜プレイ終了


呉を滅亡させた曹宇魏軍はその矛先を北へと向けました。
呉から投降した武将たちが孫権を筆頭に大船団を率いて北上し、
これまで長きに渡って戦い続けてくれた
曹肇、夏侯献、ケ艾、姜維らは陸路を北へ北へと進軍しました。

中国大陸の4分の3を支配下に治めた曹宇魏に対抗する曹叡魏は、
明らかに劣勢ではあったものの「ギョウ」には未だ10万を超える兵を保有。
「小沛」「下ヒ」「北海」にも5〜6万の大軍を展開しています。
宇宙世紀の壷愛好家の誰某のように『あと10年は戦える。』といった戦力です。が、
水軍の能力では圧倒的に曹宇魏が強いんです。
闘艦をズラリと並べ出てくる曹叡魏の小船をモグラ叩きの様に屠って行きます。

水上戦で完全に制海権を掌握した曹宇魏軍は、
黄河を行き来できなくなり補給戦の切れた「小沛」や「下ヒ」を、
ケ艾、姜維といった陸戦のエキスパートに任せました。
既に用済みとなった偽曹宇、偽秦朗は最前線に出されており、
彼らを撃破し捕え処断した曹宇魏軍は、その事実を広く喧伝し、
曹宇、曹沖、曹植といった曹操の子でありながら、
曹丕に迫害され政治の表舞台から謀略によって消された、
悲劇のヒーローと推したて前線の兵士の士気を高めるのでした。

 「さすが臥竜と言われる諸葛亮殿の策だな。」

曹沖も感嘆した諸葛亮のこの作戦は、
前線の兵士の士気を高めるだけではなく敵の兵士の戦意を喪失させました。
ジワリジワリと進軍する曹宇魏軍、ジリジリと後退する曹叡魏軍、
戦の行方は傍目にもあきらかでした。
そんなある日、

 「わたしを『ギョウ』に行かせてくれないか?」

曹植が外交の使者として一人で「ギョウ」へ行くと言うのだから皆びっくり、
もちろん降伏勧告をする為にです。

 「そんな! 兄上、一人では危険ですよ。」

そりゃそうだ、槍働きは大の苦手、もし誰かに襲われたら絶対負けるもんな。
曹宇は止めますが、曹植は耳を貸しません、

 「このまま同族で戦ってどうする。
  わたしは、こんな意味のない戦いの為にお前の配下になった訳ではないぞ。」

ごもっとも。
その心意気は素晴らしいのですが、
諸葛亮先生曰く

 「ハッキリ言いましょう。行動力の無駄です。」

こりゃまた酷い言われようだなぁ。
でも相性はメチャクチャ良いし曹叡は曹植の事が結構好きらしい。
それなのに孔明はダメだとさ、

 「曹植殿の仰る事は良く解かりますが、
  残念ながら曹叡魏に降伏するつもりはありませんよ。」

孔明がパタパタと羽扇で自身を扇ぎつつ言います。
自信たっぷりです。ちょっとムカつきます。

 「軍師殿、お言葉を返すようだが何故お前にそのような事が解かる?」
 「えぇ、簡単な事ですよ。」

ニヤニヤしつつ孔明は言い放ちました。

 「わたし、知力100ですから、」

そりゃそうだ。あんたの助言は間違いないわな。
それでも納得いかない曹植は一応外交使節として遠路遥遥「ギョウ」へ、
久しぶりに会う甥っ子は立派になっていました。

 「叔父上、お久しゅう御座います。」

曹叡も礼儀正しく会談に臨みます。
なんだ、結構いい感じじゃないですか、

 「実はな、降伏勧」
 「バーカ、アーホ、誰が降伏なんかするもんか、帰れ、ボケが!」

孔明、さすが知力100です。
(その後、曹沖、曹宇で外交を行っても全然ダメでした。)
恐るべし知力100っ! ズルイぞ知力100っ!
さて「ギョウ」の宮殿を追い出された曹植は「ギョウ」の郊外へと向かいました。
他にも何か用事があったんでしょうね。

 「兄上の墓所はここか……。」

やってきたのは曹丕の墓、さすが皇帝ですから立派な墓ですよ。
いがみ合っていても一応は血を分けた兄弟ですからね。
そりゃ墓参りくらいはするかも知れませんねぇ。
そう言えば、日本のお墓にはお水を掛けたりしますよね?
あっちの国もお墓にお水を掛けたりするのかなぁ?

 「むむ、ものスゴイ勢いで尿意がっ!!」

……下ネタですみません。
つーか何しに来たんだ曹植、
これじゃ死者に対する冒涜ですよ。

 「兄上、兄上の周りの女達も同じように、死後辱められたそうですよ。」

甄氏、郭皇后も良い死に方はしなかったようですからね。
しかもその後、遺体には酷い仕打ちが為されたようです。
曹植は甄氏を想っていたと謂われていますから、
なんとなくその元凶である曹丕に復讐したかったんでしょうね。

 「いずれ、この地も戦場となろう……。」

黄河の北に秋風が吹く季節、
赤く燃える夕暮れと同じように黄河はぶつかり合う艦船が燃える炎につつまれ、
呉水軍を抱える曹宇魏が圧勝しました。
曹植が自陣に戻る頃には曹宇魏軍が黄河北岸に上陸、
その10日後「ギョウ」は紅蓮の炎につつまれ曹叡魏軍は為す術も無く退却、
「ギョウ」を失った「曹叡魏に勝ち目無しと」投降兵は後を絶たず、
司馬懿らの奮戦も敢無く250年3月、ついに曹叡魏は滅亡したのでした。
後手に縛られた曹叡と重臣達、
曹叡はようやく肩の荷が下りたとばかりに、スッキリした顔で言ったそうです。

 「叔父上、国が滅ぶというのは呆気ないものですな。」

曹宇は彼らを前に玉座に座りましたが、
すぐに立ってこう言ったのだそうです。

 「……国が興るには、すっげぇ苦労するのになぁ……。
  この者たちに罪はない、すぐに縄を解き好きにさせよ。」

一同呆気にとられます。
そりゃそうでしょう、この人ら戦犯なんですから、

 「元仲は亡き父の遺志に従っただけ、
  ま、わたしには難しい事はよく解からんしなぁ。」

この沙汰に感じ入ったのか曹叡、司馬懿らはそのまま仕官し、曹魏の復興に尽力、
曹植は統一のその年に、曹沖は統一の翌年に、
安心したのかそのまま安らかに永眠したのだといいます、
最初は曹沖の操り人形のように何でも従っていた曹宇でしたが、

 「万事、彭祖に任せれば問題なかろう。」

という曹沖の最後の言葉が表す通り、
この乱世を生き延び、幾つモノ修羅場を越えた曹宇は、
わたしたちの知らぬ間に立派な指導者へと成長したのでしょう。
後世の史家は曹宇を東洋一の名君と褒め称え、
以後300年、異民族に攻め込まれるまで魏王朝は存続したのだそうです。

さて、こうして曹宇リプレイは何とかエンディングを迎えました。
今回の感想を一言でまとめると、いやぁ長かった。それだけ、
公孫サンリプレイの時は、結構みんな降伏勧告に応じてくれたんだけど、
今回はさすがに誰も応じなかったんだよなぁ。
ま、とにかく、めでたし、めでたしということで……。