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SOUU's CounterAttack 「曹宇 プレイリポート」(その4)
権謀術数(240年〜
中国大陸は戦乱の真っ只中にありました。
大陸を正方形に見立てると右上が曹魏、右下が孫呉、左下が蜀漢、
そして左上から中央に掛けて斜め下へと領地を延ばす曹宇軍。
どこが天下を取ってもおかしくないという状況ではありますが、
ほんのちょっとだけ曹宇軍が有利といった感じでしょうか?
「しかし、お前の倅どもまで反乱軍に加わるとは思わなんだ。」
「申し訳ございません。」
「ギョウ」の兵舎にて徴兵に励む曹丕と司馬懿、
曹丕はついに司馬懿を最前線に投入したのです、つーか遅いよ。
とにかく、真打登場、曹宇軍としては苦戦は必至です、多分。
「ま、お前の事だ、これは何かの策なんだろ?」
ニヤリとする曹丕でしたが、
「……え、ま、その、えぇ、当然でございます。」
これは絶対に何も考えて無いよね。
司馬懿は変な汗をかきつつ愛想笑い、
(ヤヴェ、何も思いつかない上にすっげぇ期待されてるわ。)
そんな曹丕は「ギョウ」にあって約10万の兵力たくわえ、
司馬懿は「濮陽」に移動し、
8万の兵をいつでも繰り出せる状態にあります。
対する「陳留」に駐屯する曹宇軍は、
僅か4万ちょっと……勝ち目無しだよなぁ。
「……で、防戦は必ずと言って良い程、このメンツなんですな。」
「それだけ殿に信用されているというコトですよ、王平殿。」
こんな苦しそうな戦場に呼び出された武将は王平と曹休、
あと三国時代の発明家、馬鈞とかも呼び出されたりして、
「で、どうやって守れというのですか? 曹宇様。」
3人が口をそろえて不安がります。
当然でしょう、魏軍は10万とも20万とも言われる兵力を、
すぐそこの都市に集結させているのですから、
「えーと、そう言われると困るんだ……どうしましょう兄上?」
ちょっとは考えろよ曹宇。
んで、とりあえず地形を味方にしようと言わんばかりに、
周辺の絵地図を広げるチビ曹沖、頼れる兄上です。はい、
「まず官渡港の少し手前に軍楽台を建築する。」
曹沖が言うには簡単に言うとこんな感じ、
魏軍の占領している官渡港は攻略しないでおく、
魏軍の陸戦は強いが水の上ではそうでもない。
官渡港の手前1マスに王平隊を配置し、船で近付く魏軍を弓で撃退する。
もっと簡単に言うと魏軍を港から出れないようにしてしまう。ってコト。
ただ、この配置にすると王平隊は無敵なのかと言うと、そうでもない。
船から弓矢で攻撃されるから、少なくともそのダメージは受ける。
しかし、曹宇軍はこの時点で技巧【応射】を持っている為、
弓矢で攻撃された場合は撃ち返せるんだよね。
それに王平隊が弱ってきたら曹休隊と交代すれば良いだけ、
「それでは、わたしは何をすれば?」
あー、そう言えば馬鈞は何の為に来たんだろうね?
そんなに強くないし、そんなに(能力値的に)賢くも無いんだ。
「馬鈞殿には投石車を量産して貰いたいんだ。」
馬鈞の特技は【発明】というもの、
こういう兵器(今回は投石)を開発する期間が短くなるという激戦地では嬉しいモノ、
弓を撃ちまくる王平または曹休の後ろから石をガンガン飛ばす作戦なのよ。
んで、何故に弩隊だけじゃなく投石車を出すのか、
投石車はひとつ作っておけば、
どんなにその部隊の兵が倒れても壊滅さえしなければ無くならないんだよね。
弩隊だと倒れた分の兵装(弩)を失うから、また作らないとダメになる。
将来的には弩を作る必要の無い投石車だけにすればお得なんだよね。
これで「ギョウ」からやってくる魏軍の艦船はほぼ無力化。
なーに、残った「濮陽」から攻め込んで来る司馬懿も、
一方向からしか攻め込んで来ないのなら、そんなに怖くは無い。
怖いのは二方向以上に攻められて、アッチコッチに部隊を派遣し、
気が付いたら兵糧が無い! 兵装が無い! 武将が足りない!
あーどうしよう! っという状態になるコトが一番怖いんだよな。
これは筆者であるわたしが無計画なだけなのかもしれませんがね、
「うーん、守りが堅いのぉ、こりゃ攻め落とせんわ。」
「濮陽」から出陣した司馬懿率いる魏軍、
既に街道沿いには曹宇軍の建造した砦があり、
その周りにはずら〜っと部隊が展開しているワケで……、
「うぬぬ、なんとしても上陸するのだ! 石や矢ごときに負けるな!」
黄河を渡河すら出来ない曹丕率いる艦船も戦果を挙げる事出来ず、
覚えてやがれと逃げ帰っていく船の上の曹丕はまだ良いのですが、
問題は曹宇軍の陸戦部隊に取り囲まれた司馬懿、
火種を設置して火計でチマチマと曹宇軍に打撃を与えるものの、
挟撃する予定だったハズが単独で突出しているようなもんですから、
曹宇軍お得意の騎兵隊率いる曹肇の特技【捕縛】に捕まってしまうワケでして、
「あれ、マジモンですよ、父上! マジで曹沖様!」
「父上、ここは是非とも曹宇軍に降るべきですよ。」
自分の子供達に説得される司馬懿、
でも曹丕様には随分お世話になっているし、すっげぇ期待されているし、
しかも、途中で囚われの身の司馬懿をからかう為にやってきた曹洪に、
「おめぇなんか要らねぇよ。ばーか、あーほ。」
とか言われて泣きそうになるし、
それより、なにより、まだ魏軍が勝つか曹宇軍が勝つか解らない。
そこで司馬懿のスーパー頭脳が弾き出した結論とは、
「お前達、よく聴きなさい。父ちゃんは曹宇軍には降らないぞ。」
え? なぜ?
首を傾げる司馬師、司馬昭兄弟。
「もし曹宇軍が勝利したら、お前達の能力なら治世でも十分に重用されるだろう。」
まぁ、司馬兄弟は強いし賢いからなぁ、
いまの時点でも最前線で扱使われているからね。
「もし魏軍が勝利したら、父ちゃんは魏国内ではお偉いさん確定じゃ。」
「つまり、どっちが勝っても司馬一族としては『おいしい』ってコトですね?」
「なるほど、さすが父上。」
と、いう話でもしていたのか、司馬懿の忠誠度が全く下がって行かないの、
曹肇の騎兵隊は都市に入らず、ずぅぅぅぅっと何ヶ月も荒野を駆け回っていたのだが、
おそらく囚われの身の司馬懿は冷たくて硬い保存食しか与えて貰えなくて、
しかも後手に縛られて、曹肇隊が敵部隊と遭遇したときは命の保証すらないという、
かなり悲惨な状況にあったと思うのですが忠誠度は下がらない……。
そんなに曹丕が好きなのか? そんなに魏が好きなのか?
で、ついにやってきました。彼が、曹丕が、
部隊が壊滅したというのに、いつまでも戻ってこない司馬懿を心配したのか、
曹宇軍に人質になっている司馬懿を返還してくれと、
外交使節として曹丕自ら、皇帝自ら、なんと、曹宇の前にやってきたのです。
「これはこれは、ご無沙汰しております、兄上。」
よくもまぁ、ノコノコとやってきたモンだと、
ニヤニヤしている曹宇軍の諸将の皆さん、
なんと口上を述べるか楽しみで仕方ありません。
「ふん、反逆者どもに告ぐ、魏王朝の忠臣司馬懿を返還せよ!」
なんと、ずかずかと宮中へ入ってくると踏ん反り返って、
言いたいことを何事も無かったように言うではありませんか!
その場にいた文武官の皆さんも唖然としている中、
「どうしたニセ彭祖、早く司馬懿を返せ、この凡愚めっ!」
曹宇(本物)に返事を求める曹丕。
「す、す、すみません。兄上。えーと、はやく司馬懿を解放してやりなさい。」
謝っちゃったよ、しかも解放しちゃったよ、この人!!
さらに顎がガクーンと外れそうになる文武官の皆さん、
「ぶ、無礼であろう! 我が君、曹宇様の御前であるぞ。」
これではさすがにマズイと、
曹洪、我に返って曹丕に食い下がるものの、
「ん? 裏切者と偽者に無礼も礼もあるか!?」
ただ絶対零度の視線が返ってくるだけ、
堂々とやってきた曹丕は、堂々と司馬懿を連れて、
堂々と帰って行きましたとさ……いや、身代金は戴きましたけどね。
「っていうか、殿! なんで司馬懿を解放しちゃったんですか!?」
「いや、その、兄上のあの怒り方は尋常じゃないなぁ〜と、思って、」
そりゃ怒っているだろうね。
それに曹洪だけじゃなく、居合わせた文武官はガッカリ、
魏を裏切って身を投じた曹宇軍の総大将がこんなに頼りないとは思わなかったでしょう。
あ〜あ、魏を裏切って失敗したな〜という雰囲気が宮中に広がりそうな感じ、
そんな時、すっと現れたのは曹沖、
「さすが彭祖、曹洪将軍をも欺く名演技だったな。」
はぁ? 立ち並ぶ諸将は困惑中。
うん、誰もが混乱しちゃってます。つーか、どこが演技?
ごく普通な、ごく自然な、いつもの曹宇だったような気がしますよね。
「皆も騙されたようだな。司馬懿程の漢を唯で返す訳がなかろう?」
「え? あ、兄上、わたしはただ、その……。」
何か言いたそうな曹宇の首に向かって、
曹沖の手首に巻いた腕輪から円形の照準ピョコンと立って、
キラリと光る何物かがスっと飛んで行ったと思うと、
「え? はらぁ? ふにゃぁ〜。」
っと玉座に座り込む曹宇、肘受けに片肘を付き頬を支える姿勢をとると、
なんか居眠りしているかのような姿勢になりました。
曹沖はというと、何故か玉座の裏に座り込み、
いつのまに身に付けたのか知らないが蝶ネクタイにボソボソ喋っています。
『皆には話しておきましょう。これは敵を油断させる策です。』
いや、居眠りしているのでは無いようです。
急に静かに語り始める曹宇、きっと考えながら話しているのでしょう。
『わたしの不甲斐ない姿を見て曹丕は油断したでしょう。
司馬懿には敵情を探るために戻って貰いました。それだけですよ。』
おぉーっと感嘆の声を挙げる家臣たち、
さすが曹沖様のご兄弟。
曹沖様同様なかなかの智恵者だったのかと喜ぶ人々ですが、
「ふぅ、ここで彭祖が求心力を失うと我が軍は危ないからなぁ。」
ま、そんなこんなで義憤には燃えるけど、とことんお人良しな弟を助ける為に、
身体は子供、頭脳は大人、名軍師曹沖の活躍はまだまだ続くようです。
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