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老将の見た夢「朝倉義景 プレイリポート」(その2)
老将に残された僅かな時間(1558年〜
足利義輝、細川藤孝といった戦闘にも明るい優秀な武将を家臣に迎えた朝倉家だが、
やっぱり先頭に立つのは宗滴であった。
いつもの槍を手に刀と弓を腰に矢筒を背中に、鉄砲なんだそりゃ? というスタイル。
攻め込むのは筒井城、筒井家には猛将と名高い島清興がいる。
そして更には鉄砲に秀でた滝川一益まで家臣として擁している。
島清興 :統090 武096 知074 政021 足B 騎S 弓D 砲C 計A 兵A 水D 築A 内C
滝川一益 :統089 武081 知084 政044 足C 騎D 弓D 砲S 計A 兵B 水C 築D 内D
宗滴は細川藤孝らと2万騎で筒井城を攻撃、
武勇に秀でた義輝、知略に秀でた義秋を副将にガンガン攻め立てる、と、
雑賀城から鈴木勢1万5千、堺港から三好勢1万5千が出陣、
なんと両軍ともに火事場泥棒を狙っているらしい、
戦場はコレに筒井勢8千余を含めた大混戦。
誰が誰の敵なのかワケのわからん状態に陥ったのだ。
「自軍以外は全て敵じゃぁっ!!」
と、ばかりに周りの軍勢を次々と屠って行く爺。
背中に十数本の名刀を背負い斬れなくなっては新しい刀を抜く義輝。
敵の計略を次々と弾き返す義秋。
なんつーか、一言で言い表すと爺世界の化物部隊。
違う意味のG世界で言うと第十三独立戦隊といったところ。
鈴木勢を追い返し、三好部隊を壊滅させ、
「おのれ老い耄れめっ!」
最後まで抵抗した島清興を義輝の槍車で一蹴し筒井城まで切り崩す。
島清興、滝川一益、筒井順慶らを配下に加え、逃げた鈴木勢力を追い掛け回す。
「鉄砲何それ?」状態なのは相変わらずだが、
撃たれても絶対死なないホトトギス。
筒井攻めで兵力を失った鈴木家は爺部隊に屈し熊野港へ逃亡。
追い討ちを掛けるように義秋の降服勧告に下ったのであった。
なんだ、意外と元気そうじゃん。
つーか、元気過ぎじゃね?
いまや天下に最も近い勢力となった朝倉家、そしてその当主義景。
室町御所でのんびりしていると次々と快勝の報告が入ってくる。
総大将は常に爺。武功第一は当然ながら爺。
戦の勝因もちろん爺。爺。爺。爺。爺。
爺すげぇーな。 なんつったっけ? 三国志の爺みたいだ。
あー、そうそ、それ、老黄忠。
現時点での兵力ランキングで言うと、第一位が朝倉12万。
次いで大友10万、武田9万、長尾(上杉)6万と言ったところ、
微妙勢力プレイばっかりしてきた筆者も驚きを隠せません。
なんつーか、爺様、爺万歳、抱かれても良い武将一位は爺。
京の都は空前の「爺ブーム」となり巷には「爺グッズ」が、
そして若者は片手に槍、腰に太刀と弓、背には矢筒というファッションが流行る。
鉄砲なんてダサい。そんなモノに頼らなくても朝倉家には爺がいる。
他の勢力もまた朝倉家の「白髭の悪魔」を恐れ、
現代に蘇った老黄忠だと褒め称えたのだった(ホントか?)
しかし義景は思った。本拠地であった一乗谷城から雑賀城まで、
あまりに戦線が広がりすぎていないだろうか?
補給線が延びきっており、万一が起こった時各拠点の連携が取れるのだろうか?
そしてその不安は的中してしまうのだった。
ある日、早馬が血相を変えて室町御所へと駆け込んでくる。
斎藤義龍の軍勢が観音寺城を目指して出陣っ!
義景は焦った。
爺、義輝、義秋といった将たちと、兵士のほとんどは雑賀城にいる。
武将達は早馬で観音寺に向かうとして兵数の差はどうするというのだ?
斎藤勢は3万にものぼる軍勢。対する観音寺城の兵数は8千という劣勢。
ところが、
「わたしにお任せくだされ。」
どろんと煙の中から登場したのは百地三太夫、
六角家を滅ぼした後、他の将とともに家臣となったのである。
三太夫はすぐさま観音寺に向かうと偽報を駆使し敵部隊を翻弄。
その間に宗滴が観音寺に入城すると浮き足立っている敵勢に対し騎馬隊で蹂躙。
3万の敵兵力に対して僅か8千で追い返したのであった。
爺と爺の連係プレイによって窮地を脱した朝倉勢は沸きに沸いた。
そして宗滴は考えた。この勢いをどうにか使えないものだろうか?
ようやく筒井、雑賀から届いた補充兵を持って斎藤家の稲葉山を攻め取ろう!
既に稲葉山城では観音寺での敗退を知った織田軍、武田軍が斎藤家を潰そうと出撃。
少し遅れを取ったが朝倉勢も続こうとしていたのだが、
「ゲホ、ゲホッ……。」
宗滴が倒れたという報は室町御所にも届いた。
義景は不安で仕方なかった。いままで朝倉軍を支えていたのは誰か?
そう宗滴である。敵に悪魔とも現代に蘇った老黄忠だとも呼ばれた宗滴である。
その宗滴が再び病に倒れたのである。
義景には解っていた、もぅ、もぅ寿命は尽きているのである。
そして爺に頼るのもお終いにしなければならないのである。
(つーか、筆者も思った。あー、やっぱりここで死ぬのかと、)
「今回の稲葉山への出撃は取り止める。」
義景はそう命令を下した。
しかしその命令に反論した者がいた。宗滴である。
「爺の命は朝倉家の物にござる。
殿から戴いた寿命。朝倉家の為に使うのが筋。」
戦支度を始める宗滴、この時を逃しては天下の笑い者となる。
その思いだけが宗滴の年老いた身体を突き動かしていた。
いつも戦場で供にあった槍や太刀がズシリと重く感じる。
いつのまに年老いたのであろうこの身体を悔しく思う。
朝倉の天下が見え始めたというのに、
戦場で過ごす毎日の中で、鎧がこんなに重く感じたのは初めてだった。
思わずヨロヨロとバランスを崩すと、それを支えてくれた者がいた。
「爺殿、此度の戦は若者にお任せくだされ。」
島清興、筒井家家臣として宗滴の前に立ちはだかった若き将、
彼の目は赤き炎に燃えていた。
爺殿の戦ぶりには未だ遠く及びませんが、
その思いはしかと若い世代に受け継がれております。
そう話す若武者に宗滴は若い世代に未来を託す時期が来たことを感じ始めた。
稲葉山の戦いは壮絶であった。
島清興、滝川一益らが3万騎を率い戦場に到達した時には、
あちらこちらで銃撃の音、金属と金属がぶつかりあう音が響いていたのである。
遠くに見えるは天下布武を掲げる織田胡瓜、
そしてその向こうに風林火山の武田菱、
そして蝮を喰らった龍が戦いを繰り広げている。
更には斎藤家の同盟軍である姉小路軍まで出撃してきた。
「姉小路家はともかく、なんか、ウチにも欲しいですな。」
一益が羨ましそうに言う、スローガンというか、象徴する言葉というか、
そりゃそうだ、そこで島は考えた。
いま我らの基礎となっているのは宗滴、爺殿が基礎、
だとしたら爺殿とともに戦場にいるのと同じコトではないか?
それを最も表した言葉はなんであろうか?
(自軍以外は全て敵じゃぁっ!!)
清興が初めて爺を見たのは、あの雄叫びをあげた姿であった。
その叫びの通り、朝倉軍は戦場にある全ての敵を殲滅して見せたのだ。
「我外殲滅……。」そう、そうなのだ、自軍以外は全て敵なのだ。
「自軍以外は全て敵ぞっ!!」
清興が叫ぶと呼応するように兵達が混乱した雪崩れ込んでいく。
朝倉が来たのか!? 戦場は一瞬冷たい空気が流れた。
その次の瞬間、織田軍、武田軍は恐れを為して撤退を開始。
斎藤家の同盟軍である姉小路軍は逃げるワケにもいかず、
斎藤軍と共に戦場へと取り残された。
もちろん朝倉家にそんなのは関係ない。
いま戦場に居る自分以外は全て敵なのだから……。
こうして姉小路軍はボコボコにされ命辛々逃亡。
稲葉山は朝倉軍の猛攻に耐え切れず陥落し、
斎藤義龍、明智光秀、竹中重治といった名将が朝倉家へと下ったのである。
「爺殿、見てくださいましたか? 我らの槍働きを……。」
島は観音寺城の方角を見上げて呟いた。
病床で我らのことを憂いているであろう爺殿を想って、
ところが、その方角からとんでもないスピードで駆けて来る馬が!
その場にいる将兵達は皆悪い予感がしたという。
まさか爺殿が天に召されたのだろうか? と……。
更に悪いコトに清洲城から織田勢が逆襲の出撃。
稲葉山には傷ついた兵が多く果たして守れるかどうかの瀬戸際であった。
しかし負けるワケにはいかない。天に召された爺殿の為に戦わなければならない。
朝倉勢で動ける者は全てが稲葉山城を発った。その数1万と少し、
対する織田勢は信長自ら陣頭指揮し2万。かなりの劣勢である。
だが島たちは戦った。力の限り戦った。
そこへ稲葉山に向かってきた騎馬が一騎、向きを変えやってきた。
その姿は槍を手に腰に太刀と弓、背に矢筒、そして白い髭、
朝倉の白い悪魔、その姿である。
「ゆ、ゆ、幽霊っ!?」
もぅ悪魔なのか幽霊なのか解らない状態になってしまったが、
その朝倉の白い悪魔こと宗滴は一直線に織田勢に突っ込んで行く。
仏となった爺殿が我らを救いに来たと喜ぶ朝倉勢。
いや、違う、違うのだ。その爺殿に遅れること数十秒。
大勢の騎馬兵が駆け込んできた。
メチャクチャ嬉しそうに刀を振るう富田景政、
迫る敵兵を斬る度に快楽に溺れるかの表情をする真柄直隆、
朝倉勢の武の両輪、そして白い悪魔、
これじゃぁ、幽霊じゃなくても怖い。怖すぎる。
「ひよっ子ども、よく頑張ったのぉ〜。」
つーか、観音寺城からの騎馬隊の援軍だし、しかも大将は爺だし、
「宗滴殿、お身体は大丈夫ですか?」
と、さっきまで死んだと勘違いしていた島ら若武者達ではあったが、
爺はそんなもの何とも無いわいと豪快に笑うだけであったとさ、
ごめん、正確には笑いながら敵兵を斬るだけだったとさ、
せっかく、しんみりと切ない感じで書いたのに……。
爺、元気過ぎだよ。
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