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老将の見た夢「朝倉義景 プレイリポート」(その3)
老将奮戦! 対決、武田織田連合(1560年〜
信玄は深志城にあって頭を悩ませていた。
陽も蔭り薄暗くなった自室の中、一人苦渋の表情を浮かべていた。
越後の上杉に対しては深志城をめぐる一戦で大勝し
その為か上杉家には未だ勢力拡大の勢いがない。
最大のライバルは蹴散らしたのだが、
上洛を目前に思いも因らぬ相手が邪魔をするのである。
その名は朝倉義景、いや、正確にはその家臣である朝倉宗滴である。
齢八十を超えた老将ながら戦場では烈火の如く凄まじい槍働きを見せると言う。
一時は病で戦列を離れたという噂が広がったが、それも老獪な宗滴の策であろう。
実際のところ武田家は、その老黄忠とも言われる宗滴と槍を合わせた事は無い。
しかし、その凄まじい程の槍働きの噂は、
この深志城に座して待つ信玄にまで確実に届いていた。
先の戦いでは勝頼に騎馬隊を任せ、斎藤家の稲葉山を攻略する予定だったものの、
どこからともなく現れた朝倉軍に急襲され敗退し城を奪われる失態を犯し、
さらには、その軍中に宗滴の姿は無く「宗滴無くとも武田騎馬恐るるに足らず」と、
天下の笑いモノにされるという屈辱を受けたのである。
「……御館様。」
勘助か? そう問うと声の主は姿も見せず一言二言小声で信玄に伝えた。
それを聞いた信玄は、ふむと頷いた。
尾張のうつけも世で言われる程うつけでは無いようだと、
先の戦いで痛手を負った織田勢ではあったものの、
共同作戦の誘いには乗ってくれたようだ。
信玄はすぐさま家臣に声を掛けた、此度は儂も出ようと、
1560年、春、深志城から武田軍3万4千、清洲城から織田軍1万8千余が出撃。
目標は美濃、朝倉家が統治する稲葉山城である。
総勢5万2千という大軍、さすがの朝倉軍も危機を感じていた。
しかし深志城からの街道沿いに急ぎ罠を設置すると、
朝倉勢約4万は朝倉宗滴、島清興、
そして今回から家臣となった斎藤義龍、竹中重治、明智光秀らに兵を与え、
足利義輝、富田景政、真柄直隆、前田利益ら武勇に優れた将を副将に据え、
清洲城方面へ南下を開始、織田、朝倉両軍は墨俣の地で激突した。
一気に織田勢を駆逐し、織田、武田を各個撃破する、朝倉勢の戦術はそうだ。
宗滴隊はいち早く敵足軽隊と槍を合わせ、周囲の隊を絶えず「鼓舞」し、
さらに敵部隊に「混乱」の戦法を掛けようとした。
混乱した敵兵など数のうちに入らない。宗滴の狙いは的確であったが、
「うっきーっ!(マテ)」
羽柴秀吉がそれを防ぐ、逆に「混乱」を受けた朝倉勢は崩れた。
何故か集中攻撃を喰らう島隊は早々に撤退を開始、
この状態で武田騎馬隊が到着すれば朝倉勢を大敗を喫するだろう。
が、逆にここでどうにか織田勢を撃退すれば可能性はまだある。
貯めに貯めまくった闘志を使い竹中隊の足利義輝の必殺「槍車」が炸裂、
ついでに「槍突撃」「槍衾」と連鎖したものだから信長本隊は堪らない。
猿ら、まだ元気な部隊を置いて信長隊は撤退を開始、
これを追う斎藤義龍隊、これでまた陣が崩れる。
必死に戻るように指示するが猿に退路を断たれ孤立。
仕方無しに全軍羽柴隊に集中攻撃を開始、
「えぇぃ、猿風情がっ!!」
「きぃーっ! ボケ老人に言われたかないわっ!!」
必死に計略を掛け合うが両軍計略を見破り決め手が出ない。
この戦いを見た信玄は勝利を確信した。
自らが駆る戦国最強の武田騎馬隊がついに戦場に到着したのだ。
……その割に誰も相手してくれない。うざったい櫓も無い。
まぁ良い、進路に敵がいないのであれば一気に城を落とすまでの話。
信玄の軍配が全軍に突撃を指示する。
どっかーんっ!!
進路上にある市や畑がどんどん爆発する。
な、なんじゃこりゃぁ!?
もぅ自領がどうなって知ったこっちゃないのか、
ちょっと進む度に大爆発が次々と発生する。
「いかん、儂、泣きそうじゃ。」
敵と槍を合わせる前に次々と大ダメージを喰らい、
部隊によっては大混乱し進軍すら止まる有様、
更には稲葉山城から滝川一益らが率いる鉄砲隊が飛び出し、
混乱している騎馬隊を次々と撃ち抜いていく。
「爺か? 爺にやられたのか?」
ワナワナと震える信玄、次々と敗走する武田織田両部隊に、
彼は、信玄は撤退を決意した。
えぇ、まともに槍も合わせずに撤退ですよ。
「おのれ、朝倉の爺め」と捨て台詞を吐いて尻尾を巻いて撤退。
罠というのは意外と有効な手段なんですね。
政治力の高い武将が3人集まって作れば10日超とかで出来ちゃうんです。
つまり敵が出撃してからでも十分に間に合うんです。
はい、さて、その爺、まだ猿と戦ってました。
「喰らえ、威圧じゃ、ボケ老人っ!」
「ぬぉ、やるな猿。こっちも籠絡じゃっ!」
「くそぅ、爺は顔だけじゃなく手段も汚いなっ!」
「猿顔に言われたくないわい。」
ホントに元気だな。
爺様。
朝倉包囲網、自動発生?(1561年〜
朝倉軍vs武田織田連合の戦いは、
他の地域、他の勢力にも影響を及ぼしたと言って過言ではないだろう。
朝倉軍は大勢の兵士を稲葉山城に動員し、
それを指揮する武将達も自然と美濃へと集結していった。
他勢力にとって勢力拡大の絶好の機会である。
伊勢の北畠家、畿内の三好家、また先頃勢力拡大に意気盛んな浦上家、
摂津、加賀にわかれ連携で攻撃を仕掛けてくる本願寺、
彼らの軍勢が筒井城、一乗谷城へと出撃してくる。しかもほぼ同時にである。
これに対し、朝倉勢は美濃稲葉山に詰めた武将達を各地へと派遣。
一乗谷へは島、明智、滝川らを派遣し本願寺対策を固めた。
筒井城へは竹中、足利義輝を、後詰として観音寺に斎藤義龍、
陽動として室町御所に朝倉宗滴を移動させる。
一乗谷は兵舎を大量建設し今や要塞と化している。
一乗谷城単独で4万余の兵を抱え、その後方には同盟国浅井軍が控えている。
筒井城は大量に罠を仕掛け北畠軍の進攻を阻害し、
観音寺から大量の騎馬隊を率いて出陣した義龍が北畠軍を殲滅。
その間に筒井城を出た竹中隊は三好家、本願寺家の両軍を足止めした。
さて、こうなれば我らが爺の出番である。
室町御所を出た宗滴隊は一気に摂津石山御坊へと迫った。
慌てた本願寺勢は竹中隊に背を向けて撤退を開始。
焦ったのは孤立した三好軍であった。
三好軍は岸和田城へと撤退を開始し、四国からの後詰を待つ作戦に出たのだが、
朝倉家の白い鬼こと宗滴は、
「来たな、ハゲどもめっ!」
「ハゲじゃねぇ、自分で剃っているんだよバカ!」
と、石山御坊へと急ぎ戻ってきたハゲ本願寺顕如を散々に打ち破り、
その余勢を駆って堺港を強襲したのである。
三好家の四国からの後詰は堺港に押し込められたまま出ることも出来ず、
三好家の岸和田城は竹中隊によって大炎上。
さらに竹中隊はすぐさま堺港へと援軍に出陣。
筒井城にて北畠軍を撃退した義龍らとともに堺港へと襲い掛かった。
これは堪らないと三好軍は早々に堺港への援軍を中止。
こうして堺港は朝倉家の支配下に置かれた。
しかしそれでも爺は止まらない。ノンストップ爺。
石山御坊を叩くと見せかけ出撃していた本願寺勢を叩き、
返す刀で堺港を叩き、その返す刀で石山御坊へと襲い掛かったのである。
「行くぞ! ハゲ坊主!」
「だからハゲじゃなくて、剃っているから坊主なんだよ!」
「うっさい、ハゲ。っつーかツルっパゲっ!」
弱った朝倉家を倒そうとしたのか、
それとも火事場泥棒で勢力拡大を狙ったのか知らないが、
この乱戦に浦上家が参加、しかし爺は怯まない。ノーフィアー爺。
「ハゲの味方は、みんなハゲになるのじゃっ!!」
さすがにコレは怖い。浦上軍恐慌状態(ウソ)
迫る浦上軍を返り討ちにすると、そのまま石山御坊を攻撃し続ける。
最後は足利義輝の必殺「槍車」でフィニッシュ?
(そのうち「乱戦」を覚えたいところですが)
いやいや、それでも爺は止まらない。
ボケて止まるコトを忘れたのか? と、心配になるくらい止まらない。
石山御坊攻略後すぐに馬上にて一乗谷へ向かうと言い出したのだ。
そりゃもぅ石山御坊を失って加賀御山御坊へと逃亡する本願寺顕如と、
まるで仲良しのように馬を並べて北陸方面に猛ダッシュ。
「ついて来るな爺っ! もぅアッチ世界に旅立て爺っ!」
「うっさいハゲ、わしもコッチに用事があるんじゃハゲっ!」
ほら、こんなに仲良しさん。
しかしそんな仲良しコンビの楽しい旅も越前若狭の一乗谷城でおしまい。
顕如くんはその向こうの加賀御山御坊まで行くんですが、
宗滴くんはここ一乗谷に行く予定だったのですから、
「もぅついて来るなよ。いいか、絶対についてくるなよ。」
「ついて行くかハゲ、はやく行け、ハゲ、ハゲ、つーかこのハゲっ!」
「いいか、絶対だぞ、クソ爺、絶対だからな。」
やはり一緒に旅をした仲間との別れは名残惜しいもの、
この二人にも人知れず友情を育んだ。きっとそうに違いない。
「朝倉宗滴隊、出撃じゃーっ! 目指すは御山御坊っ!!」
「ついて来るなって行ったじゃん。」
それまで防戦一方だった朝倉軍一乗谷の部隊は、
ものすごい勢いで御山御坊に殺到し、
その勢いのまま攻略、本願寺の敵将を捕らえた。
「えぇぃ放せ、糞爺の顔など見たくも無いわっ!」
「まぁまぁハゲ顕如、わしの顔は見なくても良い。見なくても良いが、」
宗滴はそっと顕如の肩に手を置いていった。
わしの顔は見なくても良いが、ともに天下を夢見ようではないか、と、
その言葉に心打たれたのか大爆笑の本願寺家の将兵達は、
笑いキノコでも食べたのかというくらいの爆笑っぷりのまま
朝倉家に下ったのであった。
こうして朝倉家vs武田織田連合の余波によって発生した各地の騒乱は、
収束したかに思えたのだが、この混乱に中途半端に乗っかった勢力もあった。
……元斎藤家の同盟相手、姉小路家である。
勢力維持に必要不可欠だった盟友を失った姉小路家は、
越中富山城の神保家と新たに同盟を結び憎き朝倉家に反撃を開始。稲葉山城を目指す。
他の勢力と同時に攻め込めば十二分に脅威を感じたのであろうけど、
さすがに本願寺家滅亡寸前に軍を興されたとして脅威に感じるワケもなく、
稲葉山城に残っていた朝倉一門の朝倉景鏡隊に完全に足止めされてしまう。
各地で凄まじい戦いがあった昨今。この戦、すっげぇ微妙だったという。
大きな戦果をあげることなく撤退を開始する姉小路軍。
しかし敵に背を向けるという隙を見逃すようなあの人ではない。
稲葉山城に久しぶりに光臨。
戦乱の世に蘇る老黄忠、朝倉の白い悪魔、ブレーキの壊れた暴走機関車、
戦場に響き渡る大音声、その存在全てが朝倉家のため、そして天下のため、
宗滴、朝倉宗滴、いまここの参上っ!!
追う宗滴隊、我先にと逃げる姉小路軍の将兵たち、
「うわー、退け退けー、てめぇーら邪魔すんなー。」
「な、何があったんだ? そんなに慌てて、」
「何って、そりゃお前、朝倉の白い悪魔が来たんだよっ!」
「なんだと? 朝倉の白い悪魔だってぇ? そりゃ逃げないと、」
しかし逃げ道の先には朝倉景鏡隊が足止めしている。
背後に悪魔、前には景鏡隊、どうする? どうしよう?
「ぬぉー、かげきょう隊だー。どうすりゃいいんだー。」
「『かげきょう』じゃねぇ。『かげあきら』だー。」
と、まぁ「かげきょう」と言ったヤツから順番に殴ったとか何とか、
そんな筆者も最初は「かげあきら」なんて読めなかったけどねぇ。
こうして姉小路遠征軍は爺と鏡に挟まれて壊滅。
怒りの「かげきょう」はそのまま飛騨桜洞城に乗り込む。
燃え滾る拳で次々と抵抗する兵を殴り飛ばし桜洞城攻略成功。
火事場泥棒やハゲとの激しい戦い、そして爺の働きで
集中攻撃を受けたハズの朝倉家は弱るどころか逆に勢い付く始末。
まさに「朝倉に宗滴あり」天下無双の戦上手、
ブレーキ知らずのアクセルベタ踏み、猛烈糞爺伝説はまだまだ続くようです。
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