白爺「朝倉宗滴 プレイリポート」(その2)




     その爺、万能(1551年3月〜


1550年、飛騨桜洞城を攻略した朝倉義景は今後の進路について悩んでいた。
北陸地方から一気に越後を経由し東北地方で覇を唱えるか、
それとも同盟相手である浅井と協力し畿内へと侵攻するか……。
優柔不断なところがある義景、なかなか決断できない。

 「殿、ちょっと出陣してきます。」

先代から仕えてきた老将が何か言っている。
こいつは頼りになるんだと父上が言ってたっけ。
なになに? なんだ、ちょっと出陣してくるのか、気をつけてなー。

 「……ちょっと待て!」

近所のコンビニに行く様な感覚で出陣されても困る。
今後の方針についてあれこれ考える義景は焦りますが、
時既に遅し、朝倉の白い爺こと朝倉宗滴が
桜洞城にいる全兵力を率いて出陣していくではありませんか!

 「おい、爺様、ここの守備はどうする気じゃ?」

もう飛騨から美濃へと向かう爺に義景の声が届くハズもありません。
武田家との小競り合いに終始していた斎藤家を火事場泥棒する予定なのです。

 「殿はまだお若い。こういう汚れた仕事は爺の役目なのじゃ。」

山道を切り開き、街道を敷設し、その街道をひた走る朝倉軍。
これにびっくりした斎藤軍は僅かな城兵を割き、これを迎撃。
対する朝倉軍は、斎藤家があらかじめ用意していた砦や櫓から矢の雨が降り注ぐなか、
臆する事無く美濃国境へと侵犯、そこらにある砦や櫓をぶち壊します。
このままでは危険と判断した斎藤道三は同盟相手である織田に救援を求めますが、

 「えぇぃ、面倒な、斎藤も織田も関係なしじゃ!」

だからと言って、朝倉軍のやるコトは変わりません。
美濃へ攻め込み稲葉山城を攻略する。
目標が明確だからなのか、朝倉軍の兵達にも迷いは無いのです。

富田景政の武勇は家宝のドーピングによって100となりました。
これまで同様、景政の槍衾之三を連鎖させ斎藤、織田両軍をばったばたと切り伏せます。
こうして斎藤家の居城稲葉山城をさくっと攻略した朝倉軍は、
この戦闘に巻き込まれた感がする織田家へも侵略を開始、

1551年3月に稲葉山城(岐阜城と改名)を攻略した朝倉軍は、
その年の9月に尾張清洲城の攻略に成功したのでした。
とーぜん、斎藤道三も織田信秀、信長も家臣団に吸収し
既に十分強い戦闘力をますます増強させました。
こうなってしまうと、もうちょっとやそっとじゃ負けないんだよね。
ところが、

 「宗滴様、武田の軍勢が美濃を目指して進軍を開始した模様!」

ぐがーん。
こんな早い時期から戦国最強の呼び声高い、
武田の騎馬隊と交戦するのは……出来れば避けたい事この上なし、

 「ふむ、これは困ったのー。」

さすがに朝倉の爺も困り顔、じゃない、笑ってる、ニコニコしてる。
なんかすげぇ楽しそうな顔しているじゃないですか、

 「景政殿、戦の準備は出来ておるかの?」
 「もちろんです、爺様。」

やりあうつもりだ、こいつらマジで馬鹿なのか?
ま、確かに攻め込んでくる相手を放っておくワケには行かない。
だけど、こいつら黙っていると本気で戦い始めるぞ。
いつもは優柔不断といわれる義景だが、ここはきっぱり言っておこう。

 「爺様、武田とは仲良くしたいのだ。」
 「どうしてもですか?」

もちろん、どうしても、

 「仕方ありませんな。……イエス、マイ・ロード。」

をを、言う事を聞いてくれた。
常に暴走気味の爺様ですが朝倉家当主には絶対忠誠。

 「当然じゃ。ワシはあくまで、爺じゃからの。」

ただ、今回は侵略されているのだから防衛だけはしなければならない。
難しいところだが、こんな時だからこそ立派に働いて貰わねば、

 「南信濃から進軍を続けている武田軍は街道を敷設しながらじゃ、
  故に進軍速度はそれほど高くはない。
  国境に支城を築城し、防衛に当たるのじゃ!」

つっても、支城を作っている最中は無防備になっちゃうよね。
工作部隊とそれを護衛する部隊に分け、国境沿いに進む。
信濃からは武田菱が描かれた軍旗がどんどん近付いてくる。
なんつーか、緊張の瞬間ってヤツです。

 「行くぞ、武田騎馬隊の力を見せてやろう!」

洒落になんねー攻撃力。
しかし、爺様は臆する事無く右手に太刀を、左手に脇差を、
背には槍と矢筒を背負い、腰には弓をさげ、兜から跳ね出る白髪には短刀が結ってある。

   完全武装爺参上。

 「朝倉家に仕える爺たるもの、これくらいでガタガタ騒いでどうする!」

方円の陣で防御力を高める。
支城が完成すれば支城からの間接攻撃も期待できる。
そして富田景政の武勇は家宝によるドーピングで100!
簡単には引き下がれないのだ。

この戦いによって美濃、南信濃の国境沿いには岩村城が築城され、
どうにかこうにか武田の美濃侵攻を防ぐことができましたが、
武田、朝倉両軍は痛み分けとなったのです。

しかし、この戦いは朝倉家への危機を誘発する事になりました。
前線の戦力が岐阜城、清洲城、岩村城に三分された為、
それぞれの城の守りが手薄になってしまったのです。
これを目敏く突いたのが東海地方の雄、今川家。
手薄となった清洲城を攻撃してきました。

 「世間を騒がせている朝倉の白い爺とやらも、
  噂ほどの器の武将ではないようじゃ。」

太原雪斎、彼にはこのプレイ前に何度か寿命延長の家宝を持っていかれ、
このリプレイを危機に陥れたヤツです。なんとしても負けられない。
つーか、情報で見たら今回もしっかり持ってやがる。

   徳本医方(寿命延長・七等級)

それは我らが爺様にこそ相応しいアイテム。

 「爺様、どうするんだ? 武田は抑えたが今川が来るぞ!」
 「殿、ご安心ください。 この爺が必ずお守りいたしまする。」

織田から吸収した織田信長、斎藤から吸収した明智光秀、
次世代の優秀な武将たちを動員し今川軍を抑える爺様。
清洲城の目前まで迫った今川軍をジリジリと後退させていきます。

 「おのれ、老い耄れがっ!」

今川家を支える老僧、太原雪斎、

 「老い耄れに老い耄れと言われたくないわ!」

朝倉家躍進の原動力となった老将、朝倉宗滴、
この勝負、足軽隊の技術に秀でた朝倉軍と弓技術に優れる今川軍の戦いとなりました。
しかし次第に織田、斎藤から優秀な武将を登用できた朝倉軍が優勢になっていきます。

 「敵が退いたぞ、追い討ちを掛けよ! 武功を競え!」

信長、光秀、前田利家といった若い侍が後退した今川軍に追い討ちを仕掛け、
今川軍の部隊は次々と敢え無く壊滅を繰り返したのです。
そしてコレが今後の朝倉家の方針を決定付ける出来事になったのです。
なにしろ(個人的に)憎い太原雪斎が寿命延長の家宝を持っている。
これを狙わずして何を狙うのだ。次の目標は今川家に決定。

 「よいですな、殿。」
 「ふがふがふがーっ! ふがーっ!!」

おいおい、義景、猿轡されているんですけど、

 「解りました。殿、それでは後はお任せ下さい。」
 「ふがーっ! ふがふがーっ!!」

絶対意見無視してるわ、これ。
右手に太刀を、左手に脇差を、背には槍と矢筒を背負い、腰には弓を下げ、
兜から跳ね出た白髪には短刀が結いつけられている。
さらには両肩に新兵器「てつぽう」をつけた朝倉の白い爺は、
その後、大軍を率い若い武将たちと共に今川領内へと侵攻。
駿河の支城である大宮城へと追い込まれた今川家は滅亡し、
(個人的に)憎い太原雪斎を処刑、
徳本医方(寿命延長・七等級)は朝倉宗滴のモノとなったのでした。

が、朝倉軍が東海地方を荒している隙に伊勢志摩を有している北畠軍が、
尾張清洲城へと侵攻してきたのです!
……それにしても今回、やけに火事場泥棒に遭遇するなぁ。

 「はぁっ、はぁっ、息苦しかった。爺? 爺様はおるか?」
 「は、ここに、」

どこかに侵攻すれば、その尻を他の誰かに狙われる。
戦国の世の習いとは言え、これでは心の休まる暇も無い。
そこで義景は爺様に言うのです。

 「爺、武田と同盟を組むぞ。」

今川討伐は結果的に成功して万々歳だから良かったものの、
今度、北畠と争っている間に武田に背後を突かれると想像するとゾっとする。
優柔不断で愚息と孝景に思われていた義景ですが、案外まともな考えです。

 「しかし、奴らが簡単に同盟に応じるかどうか解りませぬ。」
 「そこをどうにかするのが爺様の役目だ。」

普通なら上司の無茶振りにイラっとするところでしょうが、
朝倉の白い爺は不自然な微笑みを湛えながら答えます。

 「どのような手段を使ってもよいのですか?」
 「よいのだ。」
 「イエス、マイ・ロード。」

その日の夜。
最近朝倉家に仕えるようになった明智光秀の屋敷に何者かが侵入。
光秀の家臣である秀満の姿が見えなくなったという。
人々は口々に神隠しにあったと噂をするのでした。

ところかわって、ここは武田領、甲斐の躑躅ヶ崎館。
武田家中はびっくり箱を開けたような騒ぎがありました。
早朝、やけに元気のいい爺さんが朝倉の使者を名乗って城門を叩きました。
その爺さんはここ最近巷で大騒ぎされている朝倉の白い爺。
朝倉宗滴だったのです。

 「武田晴信様にお会いしたい。」

宗滴はなにやら馬鹿でかい袋を背負っていますが、
なんかツッコんではいけない様な雰囲気が漂っていました。

 「お、御館様、朝倉の白い爺が御館様にお会いしたいと、」
 「なんと、あの朝倉の白い爺が来たと?」

城内に招き入れられた宗滴、
やっぱり背負っている袋が気になります。
もしかしたら武器が満載、晴信の命を奪おうとでも言うのでしょうか?
しかし、だからと言って怖がっていては、
武田の当主は臆病で腑抜けだと嘲笑われてしまう。
晴信は内心恐々しながら宗滴と面会しました。

 「単刀直入に問おう、こんな朝っぱらから何の用だ?」
 「単刀直入に答えよう、同盟して戴きたい。」

老人の朝は早い、宗滴にとってはもう昼くらいの感覚なのだが、
普通の人たちには十分に早朝であった、
宗滴をはじめ見た門番は朝靄に浮かぶ鬼が現れたと腰を抜かしたくらいである。

 「朝倉家と同盟だと? 信用できぬな。」

そう答えた武田晴信ですが、朝倉の白い爺と一戦交えた経験のある晴信は、
宗滴の本当の恐ろしさを知っていました。
こいつとマジで殴り合いするとウチの優秀な家臣たちでさえ危険だと、

 「晴信様、もちろんタダとは申しません。」
 「人質でも出すというのか?」

人質でも取れば確かに信用できるでしょう。
晴信も同盟を組むことに異存はありませんから、

 「ふがふがっ! ふがふがふがっ!!」
 「このように既に準備しております。」

宗滴の背負っていた袋から縛られ猿轡をされた明智秀満が出てきたではありませんか、
つーか、準備良すぎるし、人の家臣を勝手に拉致っちゃダメ、
こうして宗滴は武田との同盟に成功したのであります。

戦にだけ長けているワケではない、
こうした外交事に関しても朝倉宗滴は朝倉家を支える重要な位置に立っているのです。
まさに「その爺、万能」なのです。

ただ、美濃と南信濃では恐ろしい噂が広まったのです。
美濃では夜中、白い鬼が人を連れ去るのだと、
信濃では早朝、白い鬼が人を連れてくるのだと、
美濃の子供も信濃の子供も、白い鬼の話をすれば怖がったといいますから、
実話ってのは怖いものだったりするのです。
以下次回です……。


     〜〜〜主な出来事〜〜〜


   1551.03 斎藤家の稲葉山城(美濃)を攻略する。斎藤家滅亡。

     .09 織田家の清洲城(尾張)を攻略する。織田家滅亡。

    52.02 武田家が美濃へ侵攻、これを撃退する。

     .同 美濃、南信濃国境に岩村城を築城。

     .06 今川家が尾張へ侵攻、これを撃退する。

     .09 快川紹喜から八十一難経(寿命延長・九等級)を購入。

    53.08 今川家の岡崎城(三河)を攻略する。

    54.03 今川家の引馬城(遠江)を攻略する。

     .06 今川家の駿府城(駿河)を攻略する。

     .同 今川家の支城、大宮城(駿河)を攻略する。今川家滅亡。

     .同 太原雪斎を処刑し徳本医方(寿命延長・七等級)を得る。

     .08 北畠家が尾張へ侵攻、これを撃退する。

     .09 武田と同盟を締結、明智秀満を人質に差し出す。