愛・戦士「上杉景勝 プレイリポート」(その1)




     愛・戦士(ゲームスタート)


天下を統一した太閤秀吉は既に亡くなり、五大老の一人である前田利家もまた亡くなった。
これまた五大老の小早川隆景が死去したのちは上杉景勝が五大老の一人に列せられる。
こうした混乱があれば五大老の一人である徳川家康の密かな野心が見え隠れしても不思議無いこと、
本来は豊臣秀頼を補佐し五大老の合議制で政が行われるハズだったが、
ここに家康の専横極まり石田三成らの不満は日々募るばかり、

こうした情勢の折、上杉領内では城の改修やら築城やらを行っている。
家康にしてみれば平和な時代に軍事行動を行っている上杉勢にツッコミどころ満載な事件、
これを機に上杉景勝を陥れるため申し開きを聴こうと呼びつけるのだが、
上杉景勝の陪臣である直江兼続という男は、その家康に皮肉たっぷりのメールを送っている。
「愛」の文字を兜の前立にしている人なんだから、これはきっとある意味ラブレターに違いない。
そんな愛たっぷりの書状を本多正純は家康のもとに持ってきたのだ。

 「殿、上杉家の直江兼続殿から書状が届いております。」
 「ほぅ、どれ、どんな言い訳が書いてある事やら楽しみよのう。正純、読んでみよ。」

     拝啓、内府殿、ウチらは別になんも悪いコトしてねぇよ。
     それよりアンタはどうなのよ、太閤様に秀頼様を託されたのに、
     アンタが色々専横しているじゃんか、そこんとこどうなの? え?

 「……お、おのれ、直江兼続め!」

     あ、いま自分の事を棚にあげてウチらのコトを潰そうと思ったでしょ?
     ぷぷっ、家康ちゃん涙目でちゅよ。あ〜ら恥ずかしい。

 「殿、落ち着いて下さい。こんなのただの挑発ですよ。」
 「そ、そうだよな、いま涙目なのは上杉の奴らだよな。ぷぷっ、恥ずかしいのはどっちかのう。」

     あらら、強がっちゃってもぅ素直じゃないなぁ。
     ま、どうしてもって言うなら相手してやってもいいんだけど、
     どうする? 戦っちゃう? 全国の大名家に援軍を頼んで上杉家を潰しちゃう?
     野戦が得意とか言って実は集団で弱いものイジメするだけなんじゃないの?
     それじゃぁ誰でも勝てるわな〜。

 「つーか、これ何で会話調なんですかねぇ。こっちの気持ちまで考えて……マメな人だなぁ。」
 「……えぇぃ、ここまで言われて黙っていられるか、上杉に叛意あり。戦仕度じゃっ!」
 「そうっすね、あ〜、総員第一戦闘配備、総員第一戦闘配備ぃ〜。」

こうして怒りに燃える徳川軍は会津征伐のため各地の大名家と一緒に進軍を開始、
しかし下野国の小山に到着した頃に石田三成が挙兵したとの報を受ける、
つまりは上杉勢と石田勢の日本地図上では巨大な挟撃を受けたコトになるのだ。

 「おのれ、おのれ石田三成、直江兼続め! 挟撃とは姑息な手をっ!」
 「殿、落ち着いて下さい。こんだけ大規模な挟撃だと……あんまり意味ないと思うんですけど、」

うん、挟撃って戦術的には怖いモノだと思うんだ。
逃げ場を失った兵士が恐慌状態に陥ってり、情報が混乱し指揮系統が麻痺したり、
純粋に挟撃が怖いんじゃなくて、そういう状況になる事が怖いんだよね。
これだけ大規模な挟撃だと各個撃破すれば怖くないと思うよ。

とはいえ、上方に人質を置いている大名家もあるし、叛旗を翻した相手を放ってはおけない。
同行していた山内一豊は、いち早く東海道沿いにある自らの居城を家康に明け渡し対石田に対して声を挙げる。
一豊と言えば故太閤が織田家の一武将だったころから秀吉に仕えていた老練たる将、
老将の鶴の一声に混乱し右往左往していた場の空気が『石田許すまじ』と結束していく。
この小山評定によって天下分け目の決戦『関ヶ原の戦い』が決定付けられるのですが、
それじゃ最初に喧嘩を売った上杉の相手はどうするの?

 「ワシらに味方した最上義光と伊達政宗に相手させればいいじゃろ。」

こうして日本各地で東西両軍がぶつかり合う大小の合戦が始まるのです。
さて、それではコトの発端となった会津若松の上杉軍はどうしているのでしょうか、

 「御屋形様、徳川勢は一旦引き返し石田軍との戦いに備える構えを見せています。」
 「…………(うむ)」

 「我らに対しては最上義光、伊達政宗の軍勢が当たると思われます。」
 「…………(そうじゃの)」

 「まずは北に向かい最上伊達両軍を叩き後顧の憂いを除き、石田勢と合力し徳川を叩くのが上策かと、」
 「…………(え? そうなの?)」

 「皆の者、御屋形様の御達し通り全軍北に進路を取ちゃいなよ!」
 「…………(えぇ〜? オレってば全然命令してねぇしっ!)」

上杉家は景勝の思惑とは異なりつつも軍備を整え北へと侵攻するようです。
それでは今回のリプレイの条件をおさらいです。

 ・とりあえず景勝、全国統一したいところ。

 ・革新PKに慣れるため「初級」からやり直し

 ・再来年の大河ドラマに便乗

 ・討死多/寿命史実/その他デフォルト

以上の条件でゲームスタートです。
ぶっちゃけ前回の黒田リプレイの個人的リベンジです。


     愛の御旗のもとに(1600年8月〜


前回の失敗を踏まえ、本来であればそんなに戦力が整っていない状態の徳川家を叩きたいところだが、
現状ではコッチの戦力すら整っていないので、どうしようも無いコトに気がつきました。
最上を叩き、伊達を叩き、その戦力を持って南下したいところですが、
その最上と伊達さえ潰す戦力があるかどうか疑問です。

しかし、無いものねだりをしたところで兵力がボボ〜ンと増えるというワケでもありませんし、
地道にジワジワと勢力を強化していくしかありません……。

 「っとでも言うと思ったかブタ野郎! 早くしねぇと徳川が強くなってミッチー(三成)がヤヴェだろ。」

まったくその通りです。
お友達のミッチーがボコボコにされてしまう前に、なんとか徳川に一発お見舞いしてやりたいところです。
その為には早い内に東北を制圧したい、制圧したいけど戦力が整わない。

 「そういう時こそ東北国人衆の愛を借りちゃうのよ。」

困りました。兼続のキャラがまとまらない。気が緩むと戦国無双の解説男になってしまう。
だけど飛ばそうと思うと意味が解からないキャラになってしまう。
なんかデフォルメしにくい人だなぁ。
とりあえず東北国人衆と協定を結び上杉全軍(主に騎馬隊がメイン)は山形城を目指し進軍。
抵抗に現れた最上軍は東北国人衆がなんとかしてくれます。

 「進めぇぃ、愛の御旗のもとに我らの義を見せ付けるのだ!」

ほら、なんか戦国無双っぽくなってきた。微妙にサクラ大戦3っぽくもあるぞ。
とにかく、前田慶次の騎馬戦法と、直江兼続の計略戦法がビシバシ決まって、
対戦相手である最上軍を寄せ付けない勢いです。
愛とか義とかよりも、やっぱ騎馬技術と戦法の決まり具合だよね。
あ、そうそう、そう言えば御屋形様はどこに行ったの?

 「…………(あれ? なんで留守番?)」

黙々と騎馬学舎を建築し黙々と騎馬技術を上げる御屋形様と家臣数人。
いや心の中では何か不満があるようですが、
そういう人も組織には必要なのです。
本当は主役の立場なのにねぇ。でも大丈夫キャラが立ってるよ。うん。

さて、愛の御旗のもとに自分なりの義を見せ付けた直江率いる上杉軍は最上家の山形城を占拠、
敗走した最上軍が逃げ込んだ酒田港もお馬さん部隊で撃破、
PKになってから弓隊や足軽隊が強化され、
騎馬戦法が弱体化したイメージがある今日この頃ですが、
まだまだ行ける! 行けるよ! 騎馬隊っ!!
なんつったって騎馬隊の先頭で戦っているあの人が騎馬戦法連鎖しまくり。

 「行け! パイン(松)ストリーム(嵐)アタック!!」

いやいや、嵐じゃなくて風だから、
捕えた最上義光を『愛のムチ』で教育し、支城を与え譜代家臣に縛りつけ、
上杉家を裏切らない絶対忠誠を誓わせたら次の目標は秋田家。
あれ? 伊達家じゃないの?

 「愛ノミハタノモトニ義ヲミセツケルノダァー!」

最上義光は愛と義の超人直江兼続に造られた改造人間である。
彼は悪しき東軍大名と日々戦い続けるのだ。

 「いやぁ、かぶいてるねぇ〜。」

全然歌舞いてねぇーっ!
愛と義の力で洗脳された最上義光は前田慶次とタッグで北上を開始。
秋田家を滅ぼし、津軽家を滅ぼし、安東水軍と協定を結び、松前家を滅ぼし……、
あれ? ここは蝦夷地、当然ながらもう北に進めないよ。

 「愛ノミハタノモトニ義ヲミセツケルノダァー!」
 「オォ、素晴ラデ〜ス。モット愛ト義ヲ広メルノデ〜ス!」

津軽為信は愛と義の怪人最上義光に改造された人造人間である。
彼は北上しか知らない馬鹿、……じゃなくて騎馬隊を南下させて、
悪しき東軍大名と日々戦い続けるのだ。

 「いやぁ、こいつはかぶいてるねぇ〜。」

だから全然ひとつも歌舞いてねぇーっ!

 「我ラ安東水軍モ上杉軍ニツヅケーッ!」
 「ヨシ、東北国人衆モ負ケテハイラレナイゼーッ!」

かなり怪しげな愛と義の軍団は、
諸勢力とも仲良くしつつ更に強力かつ強大になって三戸城と高水寺城に籠る南部領へと侵攻。
南部家と言えば騎馬隊が強力な事で皆さんご存知だと思いま……、

 「良いか、元南部家臣諸君。愛と義の為に騎馬技術を益々研究する。騎馬学舎を建築するのだ。」
 「愛ト義ノタメニーッ!! 上杉様バンザーイ、直江様バンザーイッ!」

あ、もう滅ぼしたのね。しかも洗脳済なのね。
さらには元々南部家が建築していた騎馬学舎も接収しちゃったのね。
なんかこのまま天下統一したら日本の為にならないような気がしますけど、

 「トコロデ、義光ドノハ景勝サマノ御姿ヲ見タコトアリマスカ?」
 「ワシモ見タコトハ無イガ、愛ト義ノタメニ頑張リマショウゾ為信ドノ。」

え? なんで見た事ないの?
一応(ゴメンね景勝。)君らの御屋形様でしょ?

 「…………(最近日の光を見てないのぉ〜。)」

うわ、なんか悲惨な状況らしいですよ。

 「…………(騎馬技術の研究も飽きて来たし)」

ずっと騎馬学舎に缶詰で騎馬技術の開発を進めていましたとさ、
おかげで前線の騎馬が足りないくらい騎馬隊でばかり戦争してた。
城を壊すのは苦手だけど敵部隊なら吹き飛ばせる。
なんか毘沙門天が降りて来そうな勢いだったりするんですよ。

 「御屋形様、今日も愛と義を広めるべく元気に騎馬技術を開発しましょう。」
 「…………(いや、他の技術もそろそろ必要じゃないの?)」

 「いやいや御屋形様、この兼続も解かっています。」
 「…………(マジでか?)」

 「御屋形様とはツーカーの仲、以心伝心です。」
 「…………(ならば他の技術でも開発しようかの? それとも戦場にでも出かける?)」

 「大丈夫です。御屋形様の為に愛と義の兵士達は今日も前線で頑張っていますよ。」
 「…………(あれ? つか、解かってねぇよ。以心伝心でも何でもねぇし!)」

最前線では愛と義の死兵が命を惜しまず騎馬隊で突撃を繰り返し、
御屋形様は日も射さない薄暗いジメジメした騎馬学舎で騎馬技術の研究開発。
(いま思ったんだけど内政技術は石田家から教えて貰えばいいんじゃね?)

その頃、東軍の主力である徳川軍がジワジワと戦力拡大。
対上杉家の最前線である新発田城および春日山城には既にそれぞれ五万を超える大兵団。
陸地を南へ南へと駆け続ける上杉騎馬隊を他所に、

 「時勢を読めぬ馬鹿共めっ! 僅か数万の騎馬隊で何ができる? これからは鉄砲の時代よ。」
 「殿、ウチの水軍技術って最低ランクなんすけど。」

不安げな伊達成実はともかく自信過剰な政宗を乗せて、
密かに塩釜港から久慈港へと侵攻する鉄砲満載の伊達船団。
そうです、愛と義の本当の戦いはこれから始まるのです。



-----  年表  -----

1601/07 最上家の山形城を攻略

     11 最上家滅亡

1602/07 徳川家康隊が山形城へ向けて進軍するが途中で撃退

        伊達政宗が会津若松城下の扇動に成功し一揆発生

     12 秋田家の檜山城を攻略

1603/03 徳川、伊達が羽黒忍者衆を使って扇動の嫌がらせを続ける

     12 秋田家の土崎港を攻略し秋田家滅亡

1604/06 津軽家の大浦城を攻略

     08 津軽家の十三港を攻略し津軽家滅亡

1605/01 松前家の函館港を攻略

        伊達軍が会津若松城へ向けて出陣するが途中で撤退

     02 松前家の徳山城を攻略し松前家滅亡

     08 南部家の三戸城を攻略

1606/02 南部家の久慈港を攻略

        上杉家が技術「馬鎧」開発

     06 南部家の高水寺を攻略し南部家滅亡

        徳川家が技術「神槍術」開発

     09 石田家が技術「品種改良」開発

     12 石田家の「二期作」と上杉家「馬鎧」を技術交換


-----  主要勢力の戦力  -----

  西・豊臣家 28万     東・徳川家 44万
    上杉家 19万       黒田家  4万
    毛利家  7万
    石田家  6万
    島津家  5万