出雲奪回「尼子義久 プレイリポート」(その1)




     出雲奪回(プレイ前〜


尼子氏といえば、毛利元就に滅ぼされたという事実と、
近年大河ドラマで毛利元就が主役になって間も無い為か
申し訳ないんですがやっぱ「やられ役」っぽいイメージが……。

でも良いところも当然ありますよ。ほら知ってるでしょ。
北条早雲と並び下剋上と言えば尼子経久、謀略の天才といえば尼子経久。
その孫の尼子晴久は大内氏や周辺諸国と戦いを繰り返している。
大内義隆が陶晴賢の謀反によって死んだコトもあり、
一時は将軍足利義輝より山陰山陽8ヶ国の守護に任ぜられた大名家なんだよね。
……と、ここまでは良いとして、

1554年、尼子晴久は毛利元就の謀略にハマり新宮党を謀殺してしまう。
これによって尼子家は衰退したとされている。
ただし、ここ最近の研究では「新宮党謀殺」は元就の謀略では無く、
軍記物の創作と考えられているらしいね。
(詳しくは「それ系」の本やサイトを探してみてください。)
まぁ、とりあえず今は新宮党謀殺により尼子家が衰退し、
大内家の領地を切り取って勢力拡大した毛利家の大躍進もあって、
出雲国内の有力国人が次々と毛利へと寝返っていく。
これによって急速に尼子家は崩壊していくんだけど、
この厳しい状況を前に晴久は急死してしまうんだから困ったもんだ。

   その後、家督を継いだのが今回の主人公、尼子義久。

父の死につけこまれ毛利軍はガンガン攻撃してくる。
1565年、ついに月山富田城を包囲されてしまう。
すると重臣達は我先にと逃亡するし、
義久本人は忠臣である宇山久兼に謀反の疑いがあると殺してしまう、
こんな感じでは籠城なんて続けられるワケないよね。
結局、毛利元就に降伏し、戦国大名としての尼子家は滅亡。
降伏後は安芸円明寺に幽閉されてしまうんだけど、
後に客分として1610年まで生き延びるんだ。

では尼子家が滅亡した後、
山中鹿介と立原久綱に擁立された尼子勝久は何者なのか?
えー、勝久は晴久が粛清した新宮党の尼子誠久の四男として生まれるが、
生まれて間も無く京都に逃れ僧になっていたワケだ。
山中鹿介らは勝久を探し出すと尼子家再興を目指すんだけど、

最終的には織田家羽柴秀吉の中国方面軍とともに宇喜多直家の上月城を攻略。
その後、上月城を守備するコトになるが毛利軍はその上月城に攻撃を仕掛ける。
しかし別所長治が毛利方に寝返った為、秀吉は三木城攻略に向かうことになり、
尼子勝久も撤退するように言われていたハズなのだが籠城してしまう。
結局は毛利軍の猛攻に降伏。勝久は自害、山中鹿介は捕虜となるが移送中に斬殺。
こうして尼子再興は夢と潰えた……。

   ……ん〜。なんつーか、尼子再興してみたくね?

そこで、本来は幽閉されてしまうけど、
思ったより長生きしちゃう尼子義久で尼子再興を目指すのが今回のお話です。
尼子義久は曾爺ちゃんの経久、お父さんの晴久に比べ、
とんでもなく暗愚な武将と考えられる義久、その義久で尼子再興。

   うわっ、萌える。

その萌える尼子義久の素敵で大好きなステータスは以下の通り、
一言で言えば、まず何から手を付けたらいいのか解らない人です。
ご覧下さい、この絶望的なステータスを、

  能力値 統率47  武力40  政務46  知謀32  魅力34
  技能  足軽0  騎馬0  鉄砲0  水軍0  弓術0  武芸0
      軍学0  忍術1  建築0  開墾0  鉱山0  算術0
      礼節0  弁舌0  茶道1  医術0

能力値はともかくとして技能が酷い、
忍術と茶道が僅かに1、それ以外は無しっ!
こんな人で毛利家を潰して尼子再興しちゃいます。多分。
今回のリプレイの目標はズバリ『尼子再興』『出雲奪回』です。

     ・尼子家が大名家として独立している。

     ・尼子家が出雲国を支配している。

天下統一までだと時間が掛かり過ぎますからね、
今回はあくまで尼子再興が目標ということでプレイしたいと思います。
さて、シナリオは『昇龍の章』1568年11月24日、
厳島の町で浪人からのスタートです。
尼子再興を賭けて……。


     邂逅勝久(1568年〜


尼子義久は厳島の町にあって軟禁状態にありました。
毛利家の監視の下、退屈な毎日を送ること数年、
義久は武士としてのこれまでの生活を思い出していました。

   真に恐ろしい策士よ、毛利元就は……。

父、尼子晴久は元就の謀略に掛かり新宮党を粛清し家中の混乱を広げ、
子である自分は常に毛利軍の侵攻に耐え続ける毎日であった。
ひとつひとつの事象に全て元就の思惑が加味されていた。
武士として、武将として、戦国大名として精一杯の采配を振るう事も出来ずに、
ただ、元就の手のひらの上で弄ばれていた。それが義久の武士としての生涯。
このままで良いのか、毎日自問自答を繰り返していたのです。
もちろん国を滅ぼし父にも曽祖父にも申し訳ないという気持ちもあります。
しかし、いまの自分は軟禁状態。どうすることも出来ません。
どうにかして尼子家再興を、どうにかして毛利家に復讐を、
その思いは日に日に強くなる一方でした。
尼子再興、打倒毛利、この思いを達成する為には何が必要だろうか?
ですが稀代の策士である元就を欺く事は難しいでしょう。

   ならば、この義久にあって、元就に無いものはなかろうか?

義久の頭の中に一つだけ思い当たるモノがありました。
それは寿命。残された時間です。
いかに尼子再興、打倒毛利を掲げたとしても、
あの元就が生きている間はそれも叶わないだろう。
ただ元就は既に老齢、いつ他界してもおかしくない年齢です。

確かに元就の息子たちも豊かな才能の持ち主たちではありますが、
毛利家嫡子の隆元は既に急死しており、
その子、輝元は暗愚では無いものの凡庸な青年だと義久は感じていたのです。

   元就が死んでからでも遅くは無い。

そう考えついた義久は視界がパァっと開けたような気がしました。
元就が死ぬまでに尼子再興の土壌さえ出来上がっていれば良い。
なにも今すぐに毛利を潰す必要は無い。最後に勝てばそれで良いのだ。
義久はすぐさま元就に面会を求めました。
こうして尼子再興の戦いが始まったのです。

 「義久殿、なにか不都合な事でもありましたかな?」

吉田郡山城にて面会した元就は柔和な笑顔で義久を出迎えました。
数年前まで敵将だった男を正面に余裕の表情です。
しかし、いま、ここで義久が刀に手を掛ければ、
しめたもんだと待機している毛利兵が飛び込んで来て義久の首を取るでしょう。
生かすも殺すも元就次第、義久は今まさに「まな板の上の鯉」なのです。

 「いいえ、元就様には大変お世話になっており、なにも苦労はありませぬ。」
 「ならば何用ですかな?」

柔和な笑顔の奥に何かがある。
元就の目の光が変わったような感じがしました。

 「元就様にお願いがあってまかりこしました。」
 「お願いとは?」
 「算術の修行がしとう御座います。」

元就の口の端から嫌らしい笑みがこぼれました。
元就は義久を暗愚な将だと思っていますし、義久もそれを知っています。
元就は義久を怒らせたいのです。怒る程の気概がある男であれば斬らねばならぬ。
だから怒れ、怒れば斬ることができるのだから、

 「はて、義久殿には食うに困らぬ禄を与えているつもりだが、」
 「ですからこそ、元就様の御役に立ちたいと、」
 「ほう、それで算術を、得心いたした。」

数年前まで敵同士だった以上、
元就が義久に武芸が軍学の修行を許すわけがありません。
例えそれが毛利家の役に立ちたいと言ってもです。

 「義久殿は武働きではなく政で役に立ちたいと申すか、」
 「作用で御座います。」

しばしの沈黙の後、
元就の目の色が再び変わったような気がしました。
元就の腹の中は解りません。
いまこの瞬間に首と胴体が離れるかもしれない。
そう思いつつ元就の出方を窺う義久、

 「うむ、毛利家臣になりたいのであれば、それなりの才智を得てきなされ。」
 「ははっ、有難き幸せに御座います。」

義久はその日のうちに京へと向かいました。
商家へと赴き算術を修練するのと共に、
後に尼子再興に協力してくれるであろう浪人を探し歩く事にしたのです。
義久はそこで運命の出会いをするのでした。

 「えぇ? 尼子復興? ちょっとムリじゃね?」

……え? あんた誰?
せっかく人が目指している目標を最初から全否定ですか?
しかも、あんた普通に浪人生活してるやん。

 「え? オレ? オレは勝久っていうらしいよ。最近知ったんだけど。」

か、勝久って、尼子勝久?
だって本当はお前が尼子復興の旗印になるハズなんだよ。
つーか、なんだこのキャラ設定は?
よし決めた。お前がやれ尼子復興、打倒毛利。

 「あー、ムリっすわ、オレ足利将軍家に召抱えられる予定っすから。」

足利将軍家だぁ? よりによって足利家?
この後すぐにイベントで滅びるような主家に仕えているんじゃねぇよ。
お前バカか? オレよりバカか? 大バカか? 激バカか?
と、頭を抱える義久でしたが、その勝久の庵にやってきたもう一人のお客人。
なんか勝手に勝久の家の冷蔵庫を開けて、とろろ芋とか食べてますよ。この人。

 「そうなんすよ、勝久様に尼子家復興をお願いしようと思っていたんですけどね。」
 「鹿介、うるさいぞ、オレは尼子復興なんて危険な橋は渡るつもりねぇから。」
 「あ、でもいいっす、ここで義久様にお会いできたのも縁。義久様に期待しますわ。」

いや、あんたら簡単に言うけどさ、
義久には軍権なんて簡単に渡してくれないよ、
なんたって相手はあの元就の爺さんなんだから……。
だいたい、お前なに食ってるんだよ。

 「粘り気のある食べ物が好きなんです。
  ほら、納豆とかオクラとか、んで、……義久様、何をお考えですか?」

まぁ、簡単な事だよ。こうやって3人とも浪人してたら意味がない。
軟禁先からようやく出てこれたんだ。キッチリ算術とか弁舌を修行し、
毛利家に仕官する。毛利家で十二分に働き元就の信用を得る。
そのうち軍権もある程度は渡してくれるだろう。
昇進を繰り返し家老になって、更に昇進し城主を目指す。
この際、出雲の国の城じゃなくてもいい。どこの城主でもいい。
そうなったらお前達に協力してもらいたい。
お前達を家臣に向かえ毛利家に反旗を翻す。

 「つまり毛利家でそれなりの地位について毛利家の城を貰って、
  そのまま造反するって事ですか? うわ、こぼした、床がヌメヌメだ。」
 「てめぇ、なに晒しとるんじゃ、ボケっ!! てめぇを殺して尼子復興も潰すっ!」

何しているんだか、
ま、まぁ、その時期になったら是非我が下に馳せ参じて欲しい。
そして毛利家を潰し、我等が尼子家を再興するのだ。

 「なんだと!? 勝久。納豆こぼすよりマシだと思え、この糞坊主。」
 「こぼすの確定ですか、てめぇワザとだな、地獄に送ってやる。」
 「いい度胸だ。遅れるもんなら送ってみろ。この鹿介を倒せるなら倒してみやがれ。」

あれぇ? 元就が出演していた時はちょっとカッコイイ感じだったのに、
なんつーかハードボイルド? ハードボイルドペンギン? ガンパレードオーケストラ?

 「ああ、楽勝だ。いま地獄通信にアクセスしてやる。うわ、誰だお前はっ!?」
 「呼んだでしょ? あなたが本当に地獄に流したいのならその赤い糸を解けば良い。
  ただし、人を呪わば穴二つ。あなたも地獄に落ちるわ。死んだ後の話だけど……。」

ちょっと待て、そこの少女何者ですか? 番組間違ってませんか?
著作権的に大丈夫ですか? その他諸々関係各社大丈夫ですか?
と、こんな感じで非常にこの先が怖い展開になりそうですが、算術を4レベルに上げ、
『商工人脈』『宴会』『引き込み』『銭投げ』『袖の下』『目利き』の各札を入手。
また、石山の町で浪人している安井道頓に弁舌を習い、これまた4レベル。
『挑発』『鼓舞』『恫喝』『香具師口上』の各札をゲットしました。

 「道頓、どうじゃ? この義久が出世したら仕えんか?」
 「義久はんが出世? そんなんあるワケないやん。」

そこまで言う?
「あるワケない」まで言う?

 「もしも義久はんが出世したとしても、お侍さんは遠慮しておきます。
  そうやなぁ、御用商人にでもしてもらいましょ。」

コッチから言わせてもらえれば、
万が一にでもあんたが商家の当主になったら御用商にしてやるよ。
っと、これだけではまだまだ足りない。
貧弱な能力値を抱え毛利家の名立たる名将たちと出世競争を勝ち抜くためには、
技能のレベルアップしか対抗手段がないんだ、もっと技能が欲しい。
堺の町に行き茶人の千利休から茶道を学び4レベルまで上昇。
『野点』『侘び寂びの心』『無の心』『徳の心』の各札をゲットした。

今回のリプレイで『徳の心』は結構大事だと思うのよ。
浪人や敵勢力の武将を引き抜く確率が上がるからね、
毛利家に対して謀反を起こした後、誰も武将が寄り付かないと困るからね。
そんな理由から忍術の修行も行います。目指すは軒猿の里っ! 忍術も3レベルに上昇。
『二連苦無』『陥穽』『半月』『暗示』の各札を取得。
『暗示』も登用確率を上昇させる嬉しい札だ。
これで、造反した後の武将不足も解消できる事であろう。

京に戻った義久は吉岡道場で武芸も密かに修行し2レベルまで上昇させ、
『鉄壁』『連続斬り』の各札をゲットしました。
(前回の氏真の剣豪プレイに比べると弱いわ、こいつ)
いまになって思えば結構短期間で優秀な知恵者になったような気がしませんか?
自分にも自信がついたし、政をする上では困らない技能を身につけた義久は、
あの老獪な元就の居城吉田郡山城へと向かうのでした。
尼子再興を賭けて……。

     -----これまでの流れ-----

  1568.11.14〜  京の町の商家『茶屋』にて算術を学ぶ

    .12.09   京の町で尼子勝久に会う(後に足利家に仕える)

  1569.03.14〜  石山の町で安井道頓から弁舌を学ぶ

    .08.25〜  堺の町で千利休から茶道を学ぶ

  1570.02.04〜  軒猿の里で忍術修行

    .03.04〜  京の町の吉岡道場にて武芸を学ぶ