老将の見た夢「朝倉義景 プレイリポート」(その4)




     真・朝倉包囲網(1563年〜


武田信玄、上杉謙信、織田信長、三好長慶、北条氏康、全国の強豪大名家にとって、
最大にして共通の敵、それは朝倉家となっていた。
彼らは秘密裏に全国の大名と通じ朝倉包囲網を結成し、
朝倉家の勢いを削ぐべく一大決戦を仕掛けたのである。

対する朝倉軍は東は富山、七尾、稲葉山城まで進出し、
西は播磨の姫路城にまで達する大勢力を誇っていた。
朝倉包囲網が結成されたという報は室町御所にいた義景にも伝えられ、
いよいよ来るべき時が来たということを実感させてくれたな、こんちくしょーっ!
というのも、この室町御所にまで波多野軍が攻め寄ってきたのである。
一丁前に包囲網に参加し2万騎引き連れて室町御所に、である。
当時、播磨にいた宗滴にもこの知らせは届いていたが、
さすがの爺も目の前に展開する浦上家の軍勢を無視して退くワケにもいかず、
稲葉山で織田、武田両軍を相手にする島清興らも、
北陸で上杉の猛進に恐れる元本願寺の旧臣たちも動けない。
動くわけにいかない。動いたら凄まじい程の勢いの騎馬隊の槍をマトモに喰らう。
背を向けず手にした銃口を前に向け続ける以外に手段はないのだ。多分。

なぜか孤立無援状態になってしまった室町御所は、
周辺の観音寺、筒井、雑賀、岸和田城から兵士の補充を行い。
2万の波多野軍に対し3万でこれに当たる。
それでも押し返せない。何故だ? 何故だと騒いでいてもいられない。
観音寺から浅井家に救援要請をして初めて押し返し始めた。
この報は各地で苦戦する朝倉軍の将兵たちを大いに勇気付け、
次第に各方面軍は敵部隊を押し返し始めるのであった。

そしてある日、九死に一生を得た義景は宗滴を呼んだ。
現在当家の補給線は完全に延び切っており、各部隊の連携ままならぬ。
この状態では再度同じようなことがあれば何が起こるか解らないと、
室町御所の激戦で一回り成長した義景は嘆いた。

   「ご心配なさるな。」

策はありますと、老臣はニヤリと笑ってみせた。
その自信満々な姿に義景は内心ホッとした。
いつもならムリにでも攻め込むとかワケの解らんコトを言うだけなのに、
今回は寿命を延ばすアイテムを渡す前の知的な返事が戻ってきたのである。

   「まずは尾張の清洲城を攻めます。」

まぁ陽動か何かだろう。
ただ城に籠もっているだけでは何も始まらない。

   「次に伊勢志摩の霧山御所を攻略します。」

ちょっと待て、それって策じゃないよな?
さすがに攻めます、攻略しますと続けば変だと気付く。
これじゃぁ最後には「天下と統一します。」とか言い出すだろう。
これがワシの策ですじゃと言われても困る。

   「し、し、しばし待て、爺。」
   「その次に三河の岡崎城を……なにか?」

攻める、攻めるでは補給線が延びる。
補給線が延びれば隙が出来る。
隙が出来ればまた攻め込まれるのではないか?
義景は慌てて口を挟むのだが、

   「ほぉ、なるほど、その通りですな。」

と、納得する宗滴、
つーかそれくらい考えろよ。いや考えてください。
しかし殿と、宗滴は続けます。
あの大戦で敵が引いたという事は、敵は自軍に不利だと悟ったからでござる。
自軍が優勢であれば退く必要はありませぬ。
ならば、こちらが優勢だったということでござらぬか?
今こそ全軍出撃のご命令を下さってもよろしいかと、

   「ほぉ、なるほど、その通りだな。」

逆に納得させられる義景、いやいや、待て待て、
事を急ぐな爺よと言おうと思ったがもぅ遅い。

   「殿の仰せの通りに、」

とか勝手に言って全軍出撃開始。
稲葉山に戻った宗滴は5万余の兵を率いて織田方清洲城へと殺到。
伊勢霧山御所から織田勢が筒井城へと出撃し牽制するが爺に小細工は効かない。
あわてて駆けつけようと出陣する武田騎馬も間に合わず清洲城陥落。
すごすごと戻っていく武田騎馬隊の背中を見ながら更に伊勢志摩へ向けて出撃。
筒井城へ向けた牽制が返って仇になっているくらいのスピード猛攻。
ずぅぅっと戦争状態が続いているため織田方の物資の補給がままならず、
なんと兵糧切れで息も絶え絶えとなっていた。

   「宗滴殿、少々試してみたい事があるのだが、宜しいか?」

そんな織田方を前に足利義輝が爺に耳打ち。
目と目で通じ合う一騎当千の猛者二人、もちろんと了承する爺。
喰らえ、これぞ剣の道の達人にのみ許される必殺の戦法「乱戦」っ!!
義輝の背にある十数本の刀が僅か二本しかない両の腕の上で乱れ舞う、
敵兵の血飛沫を次々と上げて突き進む義輝。
それに続けと叫ぶ宗滴と百戦錬磨の将兵。
兵糧も無く化け物相手に戦えるワケもねぇやと織田方は士気崩壊で敗北。
救援に駆けつけようとしたのか、火事場泥棒で清洲を狙ったのか知らんが、
岡崎城を出た武田軍に対しても朝倉勢は立ち向かう。

背にある十数本の名刀だけでは物足りず、
敵から奪った槍刀を突いては振り、振っては突く義輝を先頭に
朝倉のニュータイプ部隊こと宗滴隊が突き進む。
手足が飛び散り、首が飛び、地獄絵図をも超えるその戦ぶりに
天下最強と名高い武田騎馬隊も耐え切れず敗走。
そのまま岡崎城を包囲し「乱戦」連鎖「槍突撃」連鎖「槍衾」っ!
さすがにこれではどんな城も耐え切れない。
武田方各拠点から次々と援軍が送られても全然関係ない。
義輝を止めたいが為に「同士討ち」「混乱」「威圧」と、
次々と繰り出してくる敵方の計略も殆ど宗滴が弾き返す。
もぅ止まらない。止まることを知らない。突き進むのみ、ノンストップ剣豪。
ブレーキ知らずのアクセルベタ踏み、剣豪(元)将軍伝説はまだまだ続くようです。
こうして後に「刀で石垣をも斬り崩す」と恐れられる朝倉軍は、
包囲網を狭められるどころか、逆にガンガン拡げていき織田家を滅亡に追い込み、
武田勢の主力をボコボコにしてやったのでした。

後に宗滴が記し義景に送った書状には「作戦は予想通り進行中。」とあり、
その神算鬼謀ぶりに義景は「どこが作戦? どこが予想通り?」と、
優れた家臣に自慢の「あはは、だ、大丈夫なのかねぇ、これって」という
力の無い笑いしか出なかったと伝えられているのです。
あ、あと書いているわたしもこのリプレイに疑問が出てきました。
なんつーか、ねぇ〜、

   爺、いつ死ぬの? いや、マジで、



     再編成、各方面軍の活躍(1565年〜


織田信長をはじめ、織田家の旧家を吸収した朝倉家は、
それまで好き勝手暴れまわっていた宗滴の進言でそれぞれの武将に役割を与えた。
各方面にそれぞれ武将を配置し、それぞれの敵に当たるように軍を再編成したのだ。

各勢力の新たな技術に対抗すべく一箇所に集められた政治力に秀でた将、
本願寺顕如、羽柴秀吉、黒田孝高、足利義昭、南光坊天海、細川藤孝らには、
新技術を研究開発を推し進めさせ「神槍術」なる怪しげな技術までゲット。

   「これぞ仏の力、仏の力は世界いちぃぃぃっ!」

と雄叫びをあげる顕如ですが、
「仏」じゃなくて「神」だって画面に表示されてますから、えぇ、
もちろん「二期作」による兵糧生産の安定化も、
今後戦場の主役になるであろう鉄砲系技術も次々と開発中。

後に上杉家と壮絶な戦いを繰り広げるであろう北陸方面軍には、
明智光秀、鈴木重秀、下間頼廉ら旧本願寺家臣を配置。
対上杉家を意識し鉄砲と知略に秀でた者が多く所属させた。
なにしろ上杉家にマトモに騎馬でぶつかったら、こっちが消滅しますからね。
計略に優れた将で混乱させ、鉄砲で撃ち抜く、これが常套手段。

   「中国地方に援軍に行きたいなぁ〜。」

とか、ちょっぴり危険な発言を繰り返す光秀には遠くに行ってもらいたいという
何気ない配慮も含まれているのです。多分。
さて東海方面、武田、北条との厳しい戦いが繰り広げられると予想される東海地方、
こちらも主力級の武将をぶつけます。竹中重治、島清興、足利義輝、
さらには最近吸収した織田信長ら旧織田家家臣を配置、
武田家は手強いが勢いに乗った朝倉軍も強いところを、
それこそ天下に見せようと奮戦してくれるコトでしょう。
まず最初のお仕事は駿府城ひとつしか持っていない今川家を降服させます。
外交の使者は、そうだなー、足利義輝あたりで、

   「今日はどの刀にしようかなぁ〜。これも斬れるし、こっちも斬れる。」
   「すみません、無血開城します。」

さて残るは中国方面軍ですが、
朝倉宗滴を筆頭に富田景政、真柄直隆ら元々の朝倉家臣を配置。
他の方面軍に比べると見劣りしますが、爺曰く。

   「この爺めにお任せくだされ。」

かなり自信たっぷりな爺に不安な義景、
なぁに、心配はござらん、毛利の爺らも手伝ってくれます。と、
配下にも加わっていない、まだ敵勢力の武将まで数の内に入れているのでした。
そりゃ確かに毛利家の家臣団が降ってくれれば後々は楽になるだろうけど、
義景の悩みをよそに、宗滴は富田景政、真柄直隆を引きつれ突撃を始めるのでした。
その数ヶ月後には波多野家を滅ぼした「朝倉の白い悪魔」、
「丹波の赤鬼」こと赤井直正、「青鬼」こと籾井教業らを仲間に加えて、
……なんか何時の間にか鬼とか悪魔とか、とんでもない部隊になってるよ。

   「いいなー、赤い彗星とか青き巨星とか、連邦の白い奴とか……。」

ちょっと違うような感じがしますが、
いつか黒い鎧の人たちを集めて三連星を作ろうと考える真柄直隆でしたとさ、
急募、一緒にジェットストリームしてくれる方を募集中。
制服の黒い鎧は朝倉家負担です。